2022年03月

雨樋は必要なのか?特性・機能性・役割

雨樋とは雨水を集めて排水させる機能を果たす部位です。外装を雨水のトラブルから守っている、もし雨樋が無ければ屋根の雨水は住居の屋根全体から流れ落ち騒音の原因になったり、建物を腐食させる原因となります。特に軒ゼロ住宅など軒の出が少ないデザインの建物は外壁だけではく、基礎廻りの地盤を削ってしまい沈下の原因にもなります。 主な被害ヵ所は軒先の腐食や破風板の腐食・窓廻り雨漏りが発生・外壁の黒ずみ変色などです。

雨樋の部位「軒樋(のきどい)」と「竪樋(たてどい)」の違い

軒先(鼻隠し・破風板)に横に渡して取り付ける樋を軒樋と呼び、屋根から流れてくる雨水を軒樋で受け流す役割の部分で、外壁に縦に渡した樋を竪樋と呼び、軒樋から流れてきた雨水を集水器(しゅうすいき)で受け集めて竪樋を通して地下に排水します。集水器は四角いマスのような形をしていますので沢山の水を集める役割があります。じょうご・アンコウなどと呼ばれるものもあります。最近の戸建て住宅では自在ドレーンと呼ばれるマスが無いタイプの雨樋が増えています。

樋の形状・丸と角

軒樋と竪樋にはそれぞれ丸い形の製品と四角い形の製品の2種類があります。丸い形の軒樋は半円(半月)の形で工事業者は(はんまる)と呼んでいます。一方、四角い軒樋の事を角樋(かくどい)と呼んでいます。20年以上前に建築された住宅は丸い形の製品が多く採用されていましたが近年は強度と排水機能を重視するようになり四角い形の製品が人気です。

樋の素材

塩化ビニール製の雨樋  戸建て住宅で最も普及している素材です。いわいるプラスチック(塩ビ)のことです。軽量で施工がしやすく安価なのが特徴です。ただし風に弱く紫外線に対する耐性が低い為経年劣化と共に歪みや外れなどの不具合が生じます。基本的には断面積が大きく、丈夫な角樋が理想的だと思います。しかし、費用的な問題や建物の形状による納まりを考慮して丸樋を選択することも多くあります。軒樋に関しては丸樋、角樋ともに鉄芯入りを選ぶことが重要です。プラスチックの中に鉄芯を入れて強化したタイプです。熱による伸縮や変形、雪に対する強度があるのでプラスチックのみ素材の不具合を大きく改善できます。現在では芯入りの素材が基本的ですが、ローコスト建売住宅では現在でもプラスチックのみの軒樋が使用されている場合があります。

アルミ製の雨樋  アルミ製の雨樋はとても丈夫です。錆びや変形も特になく長く安心して使い続けられる素材です。ただし、打撃には弱く打痕や歪みが目立ちやすい不安もあります。特に竪樋のような地上に近い場所では、誤ってぶつけてしまうとキズやへこみが目立ちます。とても高価なので気を付ける必要があります。

ガルバリウム鋼板の雨樋  ガルバリウム鋼板屋根の人気に伴ってガルバリウム鋼板製の雨樋の人気も高まっています。ガルバリウム鋼板はアルミ製ほど耐久性はありませんが費用対策の点では優れています。住宅だけではなく非住宅の雨樋もガルバリウム鋼板製品が増えています。

銅性の雨樋  銅は神社・仏閣の雨樋としてよく使われています。特に銅は経年変化により酸化し深みのある色合いに変わります。近年は酸性雨対策として樋の内側がシリコンコーティングされ酸性雨による穴あき対策されたおり内側が変色しずらくなっています。 銅製は腐食や劣化はありませんが強度がとても弱い為、雪の重みによる変形や打撃による打痕キズやへこみが目立ちます。銅製も高価です。(銅は価格変動激しいので生産時期によって施工金額が代わる事があります。)

丸樋と角樋の特性の違い

軒樋に関しては、半丸の軒樋は断面積が狭いので雨水を大量に受ける事が困難です。その為に水勾配を多く設け雨水の流れ速くし排水機能を高める必要だがあります。また集水器による雨水の落としヵ所を多く設ける必要があります。屋根の面積によりますが、長距離を流すのは避けた方が良いでしょう。軒樋の水上側が高すぎると雪が積もった場合、屋根からの落雪で軒樋が壊れてしまいます。

角樋は断面積が広く大量の雨水を受ける事が出来る為、水勾配は半丸樋ほど確保しなくても良いので違和感のない外観に仕上がります。ですが軒樋の内側には雨水がとどまりやすく枯れ葉や砂ぼこりによる泥が溜ま継手部分からの腐食や劣化が起きやすい。長距離を流す事が可能性がその場ある程度水勾配と吊り金具ほ強度が必要です。吊り金具は種類が多く積雪地域であれば積雪地域用の吊り金具をお勧めします。

竪樋に関しては、丸樋・角樋ともに断面積はさほど変わりありません。ですが丸樋の方が水はけ良くとくに和風建築や瓦屋根のようにエルボと呼ばれる部品を多く使用する場合(竪樋の進行方向を変える部品)丸樋の方が水はけや詰まりに優れていると思います。角樋の部材は小回りが効かず、仕上がりがスッキリしません。下屋根や外壁に障害物が無ければ角樋もスッキリ仕上がります。

雨樋の役割と必要性

冒頭で述べたように雨樋は屋根雨水を集めて地面の排水溝へ導く設備です。水の侵入により家屋が腐食するのを防ぐためです。破風板や軒天が雨水により軒先が腐ってしまうと屋根の崩落につながります。また外壁に大量の雨水が当たると窓などの開口部や外壁の目地からの水が侵入し柱や内装の壁などを濡らしてしまいます。特に2階建で1階の下屋根がある場合には1階の下屋根に落ちた雨水が外壁に跳ね返り雨漏りの原因になります。また屋根から大量の雨水が地面に直接落ちると基礎廻りの地面が削られて地盤沈下の原因や基礎のひび割れの原因にもつながります。 現在では雨水の排水処理が義務付けられている地域がほとんどなので雨排水は適切に行ってください。

山間部の別荘地などでは枯れ葉などにより逆に雨樋が邪魔な場合があります。木々に囲まれているため雨樋が機能果たせず、逆に屋根を腐らせてしまうからです。この様な立地条件の場合、軒の出を多く出して外壁や基礎廻りに雨水が当たらないように作られています。