2024年01月

家主さん・スレート屋根塗装する前に理解してますか

今回は1996年から2009年に家を建ててスレート瓦(カラーベスト)を使った家主さんで、そのスレート瓦の塗装を検討または決定している家主さん。チョット待って下さい。冷静に考えて本当に良いのか?私の話を聞いてからにしてください。

スレート瓦とは?

スレート瓦とは、セメントと繊維材料を高温高圧下で形成しその上から塗装を施した人工的な屋根材です。もともとは主原料として天然繊維の石綿(アスベスト)が使われていましたが、現在では環境への配慮から人工繊維や石綿以外の天然繊維をベース作られています。スレート瓦というと一般的には平型のスレートをさします。厚さ5.2㎜ : 横幅91㎜ 主成分の85%~90%がセメントで10%前後が人口繊維で作られているのがカラーベストです。業者によってはコロニアルと呼ぶ方が多いでしょうが、カラーベスト商品ラインナップの中で看板商品が長年コロニアルであった事に由来します。 北海道や東北地方などの北国では使用されない屋根材です。なぜかというと主原料の8~9割がセメントなので寒さに弱く水を吸ってしまった場合は凍ってしまいます。(セメントは防水剤を塗らないと水を吸います)また雪下ろしが出来ない事も理由の一つです。 5㎜程度のセメントが凍って膨張すれば破損するのは当然のことです。天然繊維の石綿であるアスベストで強度を保てていたものの、そのアスベストが使用禁止になり人口繊維へと変更、改良し現在でも多くの住宅の屋根材として採用されています。

1996年~2009年のスレート瓦

なぜ1996年~2009年のスレート瓦が問題かというと、2004年にアスベストの使用が禁止される事をうけ、各スレートメイカーは事前に研究改良をしていました。使用が禁止なる前の1996年にはノンアスベストのカラーベストを販売開始しました。1996年~2009年までの製品が初期製品なのですが、とにかく不具合が多過ぎるというか強度が弱すぎる。その後メーカーでの再改良をし多少の強化は見込めるようにはなりました。

    危険なスレート瓦  
年代 メーカー 商品名 特徴的
1996年~2008年 ニチハ  パミール 層間剝離・表面滑落
1996年~2007年

旧松下電工

(現パナソニック)

レサス 割れ・滑落が多く発生する
2001年~2003年

旧松下電工

(現パナソニック)

シルバス 割れ・滑落が多く発生する
2001年~2005年

旧クボタ

(現ケイミュー)

ザルフグラッサ 割れ・滑落が多く発生する
2003年~2008年

旧クボタ

(現ケイミュー)

コロニアルNEO ひび割れが多い

上記の事を業者さんが知れない可能性がある塗装職人さんもリフォーム会社の営業マンもこの事実を知らない人が多い、そのまま家主さんに塗装をススメてしまっている場合があるので恐ろしいことです。一番多いのがコロニアルNEOでこの年代のスレート屋根の大半がコロニアルNEOだと思います。このコロニアルNEOは南側の屋根面がひび割れが多い傾向があります。(紫外線に弱いと思われます。メーカーは発表してないけどね) そしてパミールが1996年~2008年と最も長く販売されている商品ですが、層間剝離が酷く表面滑落が多く見られます。 これを普通に塗っている家がたくさんいらっしゃるんですけど・・・家主さんと塗装業者双方がこの事実知っていて承知の上で塗っているならまだ分かりますけどね。 剝がれる・割れるって分かっている素材に塗って意味じゃん、金の無駄だと思うのは私だけでしょうか? 

保証の問題点

今現在では、上記のスレート瓦は保証されていません。(保証期間が終了しています。)新築時施工後10年間は対応してくれていましたが、現在では「自分で何とかして下さい」というスタンスです。 メーカーが塗装業界や塗料メーカーに説明なり通告するのが筋だと思いますが通告しても塗装業界の反発をくらうのが分かっているのでしないのかな?  築15年程で屋根塗装を検討している中、リフォーム会社や塗装業者に見積依頼して「塗れません」という返事が返って来るとは誰も思わないでしょう。だかが築15年程でダメなんて想像出来ないと思うます。見積依頼を受けた業者も言いずらい部分もあるが、この事実を知らないで受注したり、知ってても受注してしまう事があるのも事実です。(説明したら自分達の仕事がなくなるから)

リフォーム時の屋根塗装の保証内容は塗装部の剥離だけです。自分たちが塗った塗料が剝がれた場合のみです。なのでスレート瓦の本体自体の劣化で層間剝離や割れが発生しても、塗料が現在ではなく素地であるスレート本体の問題点(特徴)なので塗装後の割れや剝がれは保証外になってしまう。 見積時や契約前に説明し双方合意があれば塗っても問題ないと思います。 また塗装後の割れやスレート自体の劣化剝がれで雨漏りが発生しても保証はしてくれません。スレート瓦自体の問題だからです。塗装工事中は当然ですがスレート瓦の上に乗る訳ですが、この時期のスレート瓦は大変もろくゆっくり乗っても割れてしまいます。塗料で表面だけは綺麗でもスレート瓦の裏側はひび割れは発生している事もあり、毛細管現象で吸い込んだ雨水がスレート瓦の裏側に廻り雨漏りが発生事例がありますが、これも保証外になります。あくまでも塗った塗料の剝がれだけの保証のみです。

まとめ

1996年~2009年に施工されたスレート瓦(カラーベスト)屋根の塗装工事はやめたほうがいい。塗料や塗装職人の良し悪し以前に、スレート瓦自体に問題がある。たとえ最高級の塗料を使用し、凄腕のレジェンド塗装職人が屋根塗装施してもスレート瓦自体が割れやすい素材なうえ、経年劣化で更に弱くなっている屋根を材塗っても意味のない事です。この事実を知らない塗装職人やリフォーム会社は塗装をすれば屋根の防水性や耐久性が向上すると思っている人が多い事が恐ろしい。屋根の上を歩くだけでもやひび割れが生じる場合屋根材を塗ってどーするの?それにこの時代のアスファルトルーフィングも寿命が過ぎている頃なので、下地防水性能が著しく低下した屋根の上を歩く行為も望ましくない限りです。 2009年以降のスレート瓦も同様です。いくら改良を重ねたとはいえノンアスベスト材です。経年劣化による剝離や割れがが早期におきます。新築施工時の屋根工事で屋根材の上を歩く事によりスレートの中身や裏側にダメージが与えられているからです。(足裏がズシッと下がる事があります。表面は何ともないので気が付きませんが確実にスレートの中身や裏側はダメージを受けています。) スレート瓦屋根は新築時からメンテナンス期以降までのランニングコストがかかり過ぎる屋根材のワーストワンと言えます。