2024年02月

瓦屋根 推しの年長者様へ伝えたい

家を丈夫で長く持たせたいという意味で屋根材に何を選ぶか?というのはとても重要です。 瓦をお勧めされるお父様方(お爺様)のお気持ちはよく分かります。そりゃそうですよ何と言っても伝統というか歴史間のが違いますからね。一方で金属屋根 ガルバリウム鋼板なんて流行ってきたのはここちょっと前の感覚ですものね。物としては何十年も前にあったんですが世間に周知されてデザイナーの人も使う様になったのは最近の事です。それを見たら年長者のお父様方にしたら、子や孫が新築やリフォームを検討している時に家づくりに失敗させたくないからと瓦を勧めるのはよく分かります。それを踏まえて瓦屋根がどんな屋根か考えてみましょう。

瓦屋根とはどんな屋根

  • 昔の瓦屋根  柱が立って梁が横に通りその上に垂木という角材を上から下に流してあってその上に野地板という板を貼って、そして野地板の上に防水になるもの水を切っていくものを貼ってそして瓦を葺いていくという形でやってました。 これは今でも基本は変わらない。変わらないですが、昔と今が違った事がポイントになります。昔は違ったところは野地板がバラ板といって10~12cmくらいの幅の板を使用していました。野地板1枚毎に少し隙間を開けて張っていました。この上に昔は(極端に昔過ぎますが)とんとん葺きという工法を行ってました。もう50年程昔に廃れというか世の中からだんだん消えていった工法です。とんとん葺きの特徴はサワラの木という木がありまして、それを薄く削いで板みたいなやつを並べて1枚1枚細かく重ねて鱗のように張っていく工法です。ちなみになぜとんとん葺きと言うかは、1枚1枚細かく釘でとんとん打ち付けるからその様を用いてとんとん葺きと呼んでいたらしいです。この作業はとても手間がかかり根気のいる作業なため昔はとんとん葺き職人がいたらしいです。 このとんとん葺きの上に初めて瓦桟を打ち瓦を引っ掛けて瓦を葺いていた。この野地板の隙間ととんとん葺きの毛細管現象を利用した水を切りが最高パフォーマンスをしてくれます。
  • 現在の瓦屋根  柱が立って梁が横の通りその上な垂木という角材を上から下に流しその上に野地板を張って防水紙を張ります。その上に瓦桟を打ち瓦桟に瓦を引っ掛けて釘打ちして葺きあげます。現在では野地板は3尺×6尺8(910×1820)の構造用合板を使用し防水はアスファルトルーフィング又はゴムアスルーフィングを使います。

昔の工法が非常に理に適ってたのはなぜか

下地の丈夫さを維持する最大のポイントは通気なんですよね。 屋根材と下地材、屋根裏に空気が上下に通るのがポイントで、昔の工法は野地板隙間があり、そしてその上のとんとん葺きも板の薄いのを重ね重ねなので当然すきまから通気出来るのです、ということは木材が腐りにくい。 現在のルーフィングは防水紙でベタっとした平面で連続して張って水を1滴も漏らさないという形を基本にしていますけど、とんとん葺きは漏れるとかじゃなくて水が切れていく、流れてどんどん軒先に切れていくことの防水なので収まり防水なんです。 一方で現在はシート防水みたいな感じです。 昔は高気密高断熱とか関係ないから換気し放題でそれが躯体を長寿命にする最大のポイントだった。それに合わせて瓦を乗せたら尚良いってことで昔の人はこれこそが最強の屋根って事ですごく重鎮したわけです。

施工方法による寿命の変化

一方で時代が瓦葺も変わってきました。垂木までは一緒です、でも野地板がコンパネ・構造用合板を使用するので基本的に隙間なく張るので通気は非常にしにくくなります。その上にはルーフィングを敷きます。アスファルトルーフィングやゴムアスルーフィングなど、これは耐久性が10~20年程あるがこのルーフィングが効いている時に関しては非常に防水性能が高いので下地が傷むことは少ないが劣化してきたら多少の雨染みが発生します。多少の雨染みがあってもいいんですよ、1滴でも漏れたらダメと思われますけど、多少入っても乾いていけばいい。つまり野地板とルーフィングの間が空気が通ってくれたら本当はいいんですが残念ながら現在の施工ではほぼ通らないので結果、通気力がないので野地板の寿命は短かい。 瓦自体の寿命は長いが瓦と野地板や垂木の間の通気に関してはパフォーマンスが落ちている。瓦は素晴らしいんだけども昔の工法ほどの耐久性が現在の工法であるかと言うと微妙です。なぜ昔の工法が廃れたかというと地震の問題や施工の無理・ムラみたいな事もあり現在に至る。

瓦屋根のターニングポイント

瓦屋根はダメじゃんって思われるきっかけは1995年の阪神淡路大震災の時です。あの時に屋根に土いっぱい乗せて瓦を葺いていた瓦の土葺きという工法の木造家屋が潰れました。瓦は重たいのでその重たい瓦を乗せて十分な壁量が取れていない木造住宅は危険だねぇと言われ始めたのがきっかけです。瓦自体は耐久性ががあるけど重たいということはデメリットとして知っておいていただきたい。 昭和時代の日本家屋は一部屋が大きく部屋と部屋の境目に壁が無かったり続き部屋の様な間取りで柱の数や筋交いの箇所も外壁廻り重視で建物の中心は強度に不安がある家屋が多かったのも大きな原因です。1995年以降1995年以降、屋根の比較基準が長寿命から屋根の重たい軽いに変わりました。近年でも様々な震災が起きていますが、倒壊家屋のほとんどが瓦屋根の古い家屋です。耐震基準を満たしていない事が原因でしょう。壁量不足や基礎の弱さと瓦屋根の葺き替えを同じ瓦で葺き替えたからでしょう。軽い屋根材の葺き替えれば倒壊は回避出来たかもしれません。 もう一つは近年では屋根の2次利用として太陽光発電を乗せるお宅が多くなりました。その時に瓦屋根でも出来るんですけれども瓦は特殊な架台だ乗る様な又は特殊加工をした瓦もあるのでそれを使えばいいんですけども、それに比べたらガルバリウム鋼板の方はキャッチ工法ということで結構簡単に出来るところもあって、太陽光発電との親和性があるということです。

まとめ

瓦を推しの方に言いたいのは、昔の長い歴史の中で瓦の信頼性という中で工法の変化で通気や2次防水の点に関してアプローチしなかったら100%の瓦のパフォーマンスは出にくいということは判断材料にある事を知っておいてほしい事と瓦屋根を選択のであれば重たいということでそれのあう耐力壁の配置や基礎の強化をしっかりとやっておいて頂きたい。そしてガルバリウム鋼板に関しては、どうもまだ誤解があるようで、カラー鉄板を想像されてしまう方が結構いらっしゃる。ガルバリウム鋼板とカラー鉄板を比べると素材そのものが違います。まあ見た目は同じですが、カラー鉄板はメンテナンスをすれば15~20年ぐらいの感じですが、ガルバリウム鋼板は長く25~30年と言われている事を知っておいて頂きたい。(ガルバリウム鋼板はよほどの事が無い限り塗装工事はしないで下さい、逆効果です。) 軽いし太陽光発電との親和性も良いということです。屋根は屋根材の素材だけの耐久性で良い悪しを決めるのではなく重さとか工法との親和性の問題で複合的なものなので慎重に検討してください。