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屋根の傾斜角度と雨漏りの関係

屋根には様々な屋根形状がありますが、その屋根形状は初期設計の段階でお施主様の要望した屋根形状と建物の間取りなどを考慮して設計提案されます。次に使用する屋根材を決めることにより屋根勾配が決まります。お施主様ご本人が使用したい屋根材とイメージした屋根形状が一致するわけではありません。屋根材に適した屋根勾配または屋根勾配に適した屋根材を使用することで数年後または数十年後の雨漏りを回避する事が可能になります。

屋根勾配とは

屋根の傾斜角度を屋根勾配といいます。 傾斜角度が急な屋根を急勾配屋根といいます。 逆に傾斜角度が緩い屋根を緩勾配屋根といいます。 その中間に並勾配があります。屋根の傾斜角度「勾配」は雨漏り防止のカギを握っているのです。 屋根に落ちた雨水を排除するために必要な機能でありますが急勾配・緩勾配ともにメリットとデメリットがあります。

急勾配は6寸勾配以上・緩勾配は3寸以下・並勾配は4寸、5寸と区別されています。  地域や設計また施工者によっては3寸5分以下を緩勾配・4寸以上を急勾配と区分されているところもあります。

急勾配屋根のメリットとデメリット

急勾配屋根のメリットは屋根に落ちた雨水を素早く排出できる事です。勾配が急であれはあるほど雨水の流れが早くなります。そのため雨漏りのリスクが少ない。収納スペースや天窓を扱いやすく、屋根裏利用価値が高い。小屋裏の空間が大きいため下の部屋の断熱効果が期待できる。

急勾配屋根のデメリットは勾配が急であればあるほど、風の影響受けやすく耐風性が落ちる、屋根材や下り棟などが破損しやすい。 また屋根勾配が急勾配になるほど屋根面積が増えるので屋根工事費用が増えます。と同時に施工時に屋根足場が必要になるのでその費用も加算されます。

緩勾配屋根のメリットとデメリット

緩勾配屋根のメリットは棟の高さが低いので屋根面積が抑えられ工事費用が安価になります。 風の影響を受けにくいため屋根材の破損が少ない。

緩勾配のデメリットは急勾配に比べて雨漏りのリスクが高い。ホコリ・ゴミ等が付着しやすく溜まりやすいので劣化が早く進む可能性が高い。シンプルな片流れ屋根なら雨漏りの危険性が少ないですが、寄棟屋根など下り棟板金や谷板金またはドーマ屋根が存在する屋根形状は雨漏りリスクが高まります。屋根と天井のスペースが狭く空気層による断熱効果を期待できない。

並勾配屋根のメリットとデメリット

並勾配屋根のメリットは一般的で広く普及していてトラブルにたいして様々なノウハウが蓄積されている。屋根足場が不要な場合が多い。はとんどの屋根材が選択できる。

並勾配屋根のデメリットはもっとも普及しているので個性が無い屋根デザインになりやすい。

屋根勾配と使用出来る屋根材

屋根材 必要最低勾配
金属屋根・縦葺き 1寸以上
金属屋根・横葺き 3寸以上
スレート屋根(カラーベスト・コロニアル) 3寸以上
シングル屋根 3,5寸以上
陶器瓦 4寸以上
  • 金属屋根・縦葺き  新築・リフォーム問わず人気のあるガルバリウム鋼板をはじめとした金属屋根は縦葺きならば、必要最低勾配は1寸以上です。比較的緩やかに葺く事ができます。屋根の頂高から軒先まで1枚の金属板で出来ているので雨水が流れやすい。(雨水の流れ方向に沿って屋根材を葺くので雨漏りのリスクが低い)
  • 金属屋根・横葺き  新築、リフォーム問わず人気のあるガルバリウム鋼板をはじめとした金属屋根横葺きの必要最低勾配は3寸以上です。縦葺きと比べて雨水の流れを遮る凸凹や屋根材の境目(つなぎ目)が多いからです。3寸未満で使用すると雨漏りします。 横葺き材の中でも段葺きと言う種類があります。製品によっては必要最低勾配が2,5寸以上の製品がありますが長い年月の間に雨水が染み込む可能性があるため横葺き全般的に必要最低勾配は3寸以上は確保することをお勧めします。
  • スレート(カラーベスト・コロニアル)   スレート(カラーベスト)に必要最低勾配は3寸以上です。これより緩い勾配で葺いてしまうと雨水の停滞が塗膜の劣化を早目てしまう原因となります。何よりスレートの重ね部分から雨水が浸み釘穴から雨漏りしてしまいます。また防水材のルーフィングが劣化していると雨漏り発生率が高くなります。
  • アスファルトシングル  ガラス繊維にアスファルトを浸透させたシート状の屋根材をアスファルトシングルの必要最低勾配は3,5寸以上です。 表面に小さな石が吹き付けられていてザラザラとしているため雨水の流れが滞りやすい。 劣化と共にホコリやコケが生え雨水が浸み込みやすく雨漏りしやすい。
  • 陶器瓦  日本では馴染み深い陶器瓦は必要最低勾配は4寸以上です。非常に耐久性が高い屋根材ですが、屋根瓦を1枚1枚重ね葺く事で実際よりも角度が緩くなります。そのため効率よく雨水を流すにはある程度の勾配が必要です。

屋根勾配の表記法

尺貫法勾配(寸法勾配) 1寸は約30,3㎜です。尺貫法勾配とは水平の長さ10寸(約303,03㎜)に対して垂直に何寸角度がついているか表記する方法です。 また分数勾配は同じように水平の長さと高さを分数で表す方法もあります。

屋根勾配は様々な影響を及ぼす

屋根の勾配はデザイン性と機能性で決めます。4寸や5寸勾配の並勾配は緩勾配や急勾配のメリットを取り入れつつそれぞれのデメリットを補いやすい屋根勾配です。 緩勾配の場合は雨漏りを防止するために使用できる屋根材が限られますが、並勾配は使用できる屋根材の選択肢が広がります。屋根には瓦・金属・スレートなど様々な素材が使われますが、それぞれの素材には必要最低勾配が決められています。一般的に瓦屋根4/10寸・スレート屋根3/10寸金属屋根3/10寸が必要最低勾配とされています。4寸~5寸勾配の屋根を選考する施工時に屋根足場が必要となるかは施工業者によって異なりますが、4寸~5寸勾配の並勾配を選べば雨漏りが少なく実用性が高くオススメです。 メンテナンスでも急勾配は突風などで瓦などを修理する時に屋根足場が必要になりメンテナンスコストが高くなります。逆に緩勾配だと雨漏りリスクが高いためにこまめなメンテナンスが必要となります。 メンテナンス面でも並勾配が優位です。屋根の勾配は緩急によって外観の雰囲気が変わるだけでなく屋根の寿命にも影響を与えます。住宅のニーズは住む人に異なり、緩勾配急勾配の特徴をよく知り好みにあった住宅づくりをしてください。

屋根裏で雨漏り❓ 原因は屋根以外にもある?

屋根裏から雨漏りしている場合は、大抵は天井にシミが出来たり水の滴る音がしたり雨水がポタポタと室内に落ちてきたりすることで気が付く事になるかと思います。  なぜ屋根裏から雨漏りするのか、原因は何か? その対処法について考えてみましょう。

屋根裏からの雨漏りはわずかな症状から始まる

雨漏りというのは、いきなりドバドバと水が漏れてくる事もありますが、多くは「少しシミができた」「カビが生えた」「クロスが濡れてきた」などの様なわずかな異変から始まります。 中でも屋根裏からの雨漏り発生で一番多い症状は天井のシミや水が滴る音の発生です。 雨が降るとどこからか「ポタポタ」と音が聞こえてくる場合は、屋根裏で雨漏りしている可能性が高いです。 家の中で水の音がすると言う事は、どこからか水が侵入しているので雨漏りにしろ水漏れにしろ原因を早急に見つけ修理する必要があります。

屋根裏で雨漏りの兆候

屋根裏で雨漏りを発見するタイミングは、その雨漏りの程度や場所によって異なりますがいくつかの一般的な兆候に注意する事で早期に気付く事が出来ます。

  1. 水の染みや輪ジミ  屋根裏の天井や壁に茶色の染みや輪ジミが見られた場合、これは水が侵入している兆候です。
  2. カビの発生  屋根裏やその周辺でカビが発生している場合、湿気が高いことが原因でありこれま雨漏りの可能性があります。
  3. 濡れた断熱材  屋根裏を点検した際に断熱材が湿っているか水滴が付いている場合、雨水が侵入している可能性があります。
  4. 塗装の剝がれや壁紙の剝がれ  内壁の塗装が剝がれたり、壁紙が剝がれている場合、壁内に湿気が溜まっている証拠です。
  5. 異臭の発生  屋根裏から「カビ臭い」または「不快な湿った臭い」がする場合、これも雨漏りの兆候です。

雨漏りは早期に発見し対処する事が重要です。放置すると家全体の構造に悪影響与え修理費用が増大する可能性があります。 定期的な屋根や屋根裏の点検を行い初期の兆候を見逃さないようにすることがおすすめです。

屋根裏からの雨漏りの原因

雨漏りの原因は様々で屋根や外壁、窓枠などからの侵入が考えられます。 特に雨漏りは雨水が直接当たる場所や、水が溜まりやすい場所から起きやすく、屋根裏からの雨漏りは大半が屋根や外壁からの雨水が侵入したことが原因で、屋根裏から雨漏りが発生するケースが多く見られます。 その中でも多い原因について解説します。

  1. 棟板金や谷板金の隙間  棟板金や谷板金が強風や経年劣化などによって屋根本体部分との間に隙間が出来てしまい、その隙間から雨水が侵入します。
  2. 屋根材や外壁材の隙間  屋根材の隙間や外壁材の隙間などいたるところでコーキング剤が使用されています。コーキン剤はとても劣化しやすく、数年でひび割れや剝がれが起きてしまいます。そのコーキンが劣化する事で雨水が侵入して雨漏りが発生します。特に屋根・外壁・サッシ廻りの取り合い部のコーキングわ要注意です・
  3. スレート材の劣化  スレート材【カラーベストやコロニアルなどと呼ばれている屋根材のの事】はとても劣化しやすく、割れやひび割れてしまう場合があり、ひび割れ箇所から雨水が侵入してしまいます。 またスレート材が浮いてしまうのも、屋根の下に雨水が入り込んでしまう原因となります。
  4. 瓦や周辺の劣化  瓦屋根の下地に使われている漆喰は雨や風の影響などで劣化してしまいます。 漆喰が劣化するとひびが入り崩れてしまい、その隙間から雨水が侵入し、雨漏りを引き起こしてしまいます。 また瓦の下に敷いてある防水シートの劣化や瓦のズレなども雨漏りの原因になります。

屋根裏の結露が雨漏りに見える事もある

屋根裏で結露が発生する事で水分が生じ、結露を繰り返すことにより屋根裏の木材は腐食し天井にシミが出来てしまいます。またグラスウールなどの断熱材がある場合は、結露の水が浸み込みカビが生えてしまう事もありますので、よく雨漏りと見間違える事も多いです。 結露が発生しやすい屋根裏であれば冬場もしっかりと屋根裏換気して結露を防ぎましょう。

自分で行う雨漏りの調査

  • 目視調査  目視調査は最も手軽な方法です。雨漏りの起きている部屋の天井や壁を見て湿っている場所や水滴が落ちている場所がないか確認します。 また屋根や外壁にひび割れや異変がないかを確認する事も重要です。屋根上に上らないで地上からの目視程度にしてください。屋根上に上るのはとても危険です。くれぐれもお控えください。
  • 雨音を利用する  雨の日に屋内で音に耳を傾けると、雨水が侵入する場所から特有の音が聞こえる事があります。 雨水の侵入箇所の特定には難しいですが雨漏りの有無程度ならわかると思います。

屋根裏の点検をする時の注意点

  1. 屋根裏には入らず覗き込むだけにしましょう。  屋根裏は強度が弱い部分があるため、踏んではいけない箇所があります。誤って弱い箇所を歩いてしまう天井が抜け落ちてしまう可能性があります。屋根裏は人間は普通に歩く事が出来る様には作られていません。 自分で点検ををする場合は、点検口から覗き込むだけに留めましょう。
  2. カビやホコリに注意しましょう。  屋根裏は風が通らないため、カビやホコリが溜まりやすいです。また害虫などの糞や死骸などもある可能性があります。そのため器官が弱い人は健康に害を及ぼす危険性がありますので避けましょう。 健康な人でもマスク着用心掛けた方がいいでしょう。
  3. 電気配線には触らないようにしましょう。  屋根裏は配線がたくさん集まっています。古くなった配線は劣化している可能性があります。また雨漏り箇所付近の配線は特に危険です。見る分には大丈夫ですが、安易に触らないようにしましょう。

築10年以上の屋根裏は雨漏りに注意

家を建てて10年以上経っている場合には屋根裏の点検をしましょう。 築10年も経つと屋根の劣化や柱・梁などに歪みやズレが出てくるため、外壁やサッシ廻りのコーキングがひび割れここから雨漏りの原因となることもあります。点検をして何もなければ安心ですし、何か問題が見つかればすぐに対処する事が出来るので、屋根裏の状態は一度確認しておきましょう。

雨漏りのリスク承知で?なぜ軒ゼロ住宅を選ぶの?

近年では軒ゼロ住宅がメジャーになり、個性的(珍しい)建物としての認識だはなく標準仕様になりつつある軒ゼロ住宅ですが、外観や間取りを重視しすぎてはいませんか? 狭小土地や境界線の問題点とか建築予算を抑えて間取りを確保出来ると言う観点からすれば有効的かもしれません。 これから家を建てたいと検討して方目線では、軒ゼロ住宅は魅力的に思えるのも分かります。 また住宅営業マン的にも人気の軒ゼロ住宅は安価だけども受注し易い物件なので推したいと思うのも分かります。 ですが、ハウスメーカーではなく工務店や職人目線では、はっきり言って推しません。長年にわたり数多くの物件に携わった経験からして推しません。 (もし私の子供が軒ゼロ住宅を選択したら、全力で阻止します。w)

国土交通省のホームページでも発表されているように、「軒ゼロ住宅は軒の出がある住宅よりも危険である」ことを認識して建てる と発表されています。

軒ゼロ住宅が人気な訳

軒ゼロとは住宅の軒が無い又は軒のでが短い(軒の出が20cm以下)の建物をさします。

  • スタイリッシュなデザイン  軒の出が無いので屋根の協調性が抑えられスッキリした見栄えになる。 和風でも洋風でもない外観で都市型住宅の見本     
  • 空間を確保できる   ゆとりのある間取りや生活動線を確保できたりする

  • 敷地ギリギリに建てられる  軒の出がない分、敷地境界ギリギリまで建てられる 
  • コストがカットできる  軒の出部分の屋根と軒天のコストがカットできる

軒ゼロ住宅の落とし穴

スタイリッシュで比較的に安価ではあるがデメリットの方が危険性が高い

  • 雨漏りや結露が起きやすい
  • 外壁が劣化しやすい
  • 夏の陽射しを防ぐ対応が必要
  • 小屋裏と外壁の換気が難しい
  • 室外機やエコキュートが過酷な環境になる

 

 

 

 

 

 

最大の汚点ポイントは外壁に雨がかかりやすい

  • 軒の出が短ければ短いほど外壁に雨がかかりやすくなります。  雨や強い陽射しの紫外線によって外壁が汚れ傷みが速まり、目地シーリングも傷みが速まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 雨樋の不具合が他の部分への与える影響度が高い。  軒の出が長い住宅は雨樋に不具合があっても外壁を伝う雨が最小限に、せいぜい破風や軒天を濡らすぐらいですが、軒が短い軒ゼロ住宅では、雨樋に不具合があると屋根の雨水がダイレクトに外壁を伝い軒の内側まで侵入してしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 外壁との取り合いに注意。  建物で違う部材どうしの接合部分を取り合いといいます。軒の出がある住宅の場合は軒天があるためダイレクトに雨水はかからない、よほどの強風雨でない限り当たりません。しかしながら軒ゼロはダイレクトに雨水がかかるケースが多くなり雨水の侵入になりやすい。

片流れ+軒ゼロ=危険度が高い

屋根形状別の雨漏り発生率では片流れ屋根が全体の75%で、そこに軒ゼロをプラスされると更に雨漏りのリスクが高まります。 軒と外壁の取り合い部から雨水が侵入して壁内部に流れ込んでしまう事例が多数発生しています。軒の出が長くあれば暴風雨でも雨水が侵入する可能性は低くなりますが軒天がないことでリスクが高まります。 軒ゼロ住宅は建築費用(初期費用)が抑えられ反面、こまめな点検やメンテナンスは必須なので、トータルコストで比較すると高くなります。メンテナンスのタイミングですが、軒ゼロ住宅は、築後8年~10年以内で以後こまめな間隔でメンテナンスが必要。 軒の出が長い住宅は、築後10年後で以後数年間隔が目安と言われています。 万が一雨漏りの発見が遅れ、大規模修繕工事が必要になった場合は住宅ローンに更なる修繕費用がのしかかります。 

軒が無いキューブ型住宅(箱型住宅)

キューブ型住宅(箱型住宅)は外壁を屋根の上まで高く立上げ内側に低勾配屋根を隠している形状の建物で、ビルの住宅バージョンの様な建物です。 屋根形状は陸屋根でシート防水や低勾配の片流れ屋根で金属屋根の立平葺となり、どちらも外壁が高く立ち上がりパラペット納めに施工されています。 このキューブ型の場合は外壁の劣化による雨漏りはもちろんの事、屋根本体と笠木の点検やメンテナンスが重要となります。屋根の雨水排出不良が起きやすく、雨樋や排水ドレーンのゴミ詰まりが原因で屋根全体が傷んだり、大規模な雨漏りに発展する可能性があります。また雨だけではなく雪にも注意が必要です。雪が積もり2日3日積もった状態が続くと屋根や樋と雪の接地面が溶けたり凍ったりを繰り返し屋根や樋の破損につながります。 笠木からの雨漏りが多くあります。これは建物や建材の経年劣化や施工不良によりもので 暴風雨よく起きます。風が外壁に当たり雨水を吹上て笠木の下からの外壁の内側に侵入して起こる雨漏りです。 防水処理が不十分な場合は、外壁内部全体を1階の土台まで濡らしてしまう可能性もあります。 強風で笠木が、がたついたり飛ばされたりした場合は雨漏りに直結します。

それでも軒ゼロ住宅を建てたい場合

 

どうしても外観を重視したい方 立地条件や土地の関係上、軒ゼロ住宅になってしまう方へのアドバイスをさせて頂くと以下の項目になります。

  • 耐久性の高い外壁材を使用  安価な建材の耐久性はそれなりですので、長持ちするかどうかは、保証できません。「定期的に塗装すれば長持ちします。」このセリフにはご注意ください。外壁塗装は何度も塗り増しが出来るものではありません。 塗ったからと言って建材の強度が上がる事はありません。表面の防水性が高くなっただけで、建材の中身や裏側の経年劣化は進みます。
  • 防水工事の知識を熟知して高い信頼性と実績のある住宅会社を選ぶ  大手ハウスメーカーだからとか、口コミサイトを信用してはいけません。 大手ハウスメーカーでも欠陥住宅は多く存在します。監督者の知識不足だったり、安い単価で受けている職人さんの知識と技術とモチベーションも関係してきます。手間と時間をかければ赤字になってしまいますから。 口コミサイトのほとんどはサクラです、あまりにも酷い投稿は削除されて隠ぺいします。 中小規模のハウスメーカーでもプライドをもって施工している職人さんや業者はたくさんあります。地域密着型の業者は地元で施工不良起こしたら死活問題ですかね。 軒ゼロ住宅に対する経験値はもちろん、防水処理に対する対処方法など突っ込んだ質問を素早く分かりやすく説明してくれる会社を選びましょう。  
  • 10年保証以後も保険を継続すること  新築後に10年保証の制度がありますが、各建材の補償期間は10年であり、不具合発生の多くは10年以降に現れます。築10年いないの雨漏りが発生した場合は保証ないで施工店が補償しなければならないが、築後数年で雨漏りが発生していても、気が付きづらい箇所でゆっくり雨漏りが進行していて10年後に明るみに出た場合は、自己負担での修繕となります。

 

 

 

軒ゼロ ではなく  軒深 の特徴は?

近年では軒ゼロ住宅や軒のでが浅い住宅または箱型住宅(パラペット)が人気というか、主流になりつつあります。 もちろんデメリットを把握したうえで選択されているかとおもいます。 一方で大手ハウスメーカーでは、その逆で軒の出が深い住宅も人気が根強く今回は軒のでが深い(多い)住宅屋根のお話をさせて頂きます。 軒の出を深くすることでメリットがある反面、条件や環境、設計力によっては当然デメリットもあるので見た目だけで判断するのではなく軒の意味をしっかりと理解した上で、軒の出を選択する必要があります。

軒の役割

昔の日本家屋では軒の出な少ない家はあまりありませんでした。経験則から深い軒は日本の風土に合っているからだと考えられていた。 軒とは外壁面よりも屋根を外側に出すことで屋根の上を流れてきた雨水や雨が直接が外壁にかかって汚れたり劣化したりするのを防いだり屋根のすぐ下にある窓の日除けをしてくれる部位になります。

軒の出が深いメリット

  1. 重厚感  シュッとしたイメージの軒が浅い家に比べて屋根をしっかり強調するように軒を深くした家の方が重厚感を感じやすいという意味になります。屋根の厚みや種類によりますけど家というよりも邸宅のような少し大きめの家に見せたい、迫力を出したい場合には非常に有効な手段の1つになります。 これは実際に軒の深い家の方が屋根面積が物理的に広くなりますし、寄棟や片流れなど屋根の形が同じで屋根勾配も同じだとすると、軒の深い家の方が屋根の頂点が高い位置になるので見た目のボリュームも比例してアップします。
  2. 雨除けと日除け対策  外壁汚れ防止のメリット以外にも、軒を出して屋根のあるインナーバルコニーにする事で天気に左右されることなく洗濯物を干す事が出来ます。また軒が深いと夏の暑い日差しが窓から入りにくくなるので室内の温度上昇が防げます。
  3. 雨漏りの低減  軒の出が浅かったり、今流行りの軒ゼロや箱型デザインの家に比べて、軒の出が深い家の方が雨漏りのリスクが少ないという意味になります。 工法によって違いますが、基本的に軒と外壁が干渉する取り合い部には、雨が入らないように防水処理がしてあり、万が一雨が侵入しても下に抜ける施工するのが一般的です。ただその防水処理が経年劣化で機能してなかったり適切な防水施工がされてなかったりすると、台風や暴風雨だと雨が吹き上がるので軒が浅いと余計に雨水が侵入しやすくなり雨漏りの原因になったり家の耐久性低下に直結します。

軒の出が深いデメリット

  1. 暗くて寒い  軒の出を深くすればする程その分雨がかからなくなって夏の日差しも避けられる反面、日の光が届かなくなるので室内は暗くなるし冬も寒くなってしまう可能性があります。 極端な例かも知れませんが、見た目の重厚感や雰囲気だけを優先して軒を深くしてしまって、暮らし始めてから寒いとか暗いとなって後悔するパターンも少なからずあるみたいです。 家を建てる地域によって日の角度や日照時間は異なるのでほど良い軒の深さを選択してください。
  2. コストがかかる  軒を出すことでその分屋根本体の面積がおおきくなります。 屋根材はもちろん下地に使われている合板の枚数増加や垂木の長さやサイズも大きくなって、防水や雨樋とか色々な材料が増えてしまうので比例して建築コストが高くなります。
  3. 土地の問題  広い土地に家を建てるとかある程度ゆとりのある計画の場合は考えなくてもよいのですが、一般的には適切な大きさの土地に家を建てる事が多いと思うので条件によっては軒の深さがネックになる可能性があります。 基本的にはどの土地にも道路境界線と隣地境界線の2つがあり、この線を越境して家や塀などの工作物をつくってはダメですが、上空なある軒も例外ではありません。 軒が深い家をつくりたい場合にはその分だけ境界線から下がった位置に家を建てるひつようがあります。 また地域によって土地に大きさに対して建築出来る家の大きさ(建ぺい率)がきまっています。 軒の出が1m以内なら大丈夫ですが、1mを超えた部分は建築面積にカウントされてしまいますので軒の出をたくさん出したい場合には余計に家の面積を小さくする必要があります。
  4. 風のあおりと屋根のたれ  軒の出が深い分だけ、台風の時とか壁に当たった強風が吹き上がって軒が煽られる事で建物に負荷がかかったり、屋根の作りによっては軒の先端部分が経年劣化で垂れる事も起こりえます。そうなると当然、メリットだったはずの雨漏りリスクも増えますし、軒部分が壊れて屋根が落下し大きな損害に発展してしまう可能性も出て来ます。 基本的にはしっかり計算して適切な構造補強をしておけば防げますが、突発的な強風や予期せぬ経年変化もゼロではありません。

時代の変化と環境の変化

昭和→平成→令和と共にマイホームに対する考えも変わって来ました。昭和から平成前期までは比較的に大きな土地に解放感のある家を建て、南側の縁側を広く確保して、来客やご近所さんなどが入りやすく招きやすい家が多かったと思います。 平成中期頃からはマンションなどが増えて、ご近所付き合いも程々に、プライベート重視の方向に変わり、また防犯に対する意識も高まりました。それに伴い戸建て住宅の窓などの開口部が少ない家も増えた来ました。 同時に、不動産の価格も上がり建築資材置場等の物価上昇の影響で最小限の土地の広さと家族分の間取りのある家を求める人が多くなりました。 これらのニーズに答えたのが、ローコスト住宅、軒ゼロ住宅だと思います。軒のでが少ない分、少し狭めの土地でも建ぺい率いっぱいまで必要な分の大きさの家が求められるようになりました。 近年では『家を建てる』というビックイベントは女性目線の意見方が多いい傾向にあります。男性目線的には重厚感を求めがちですが、女性目線ではシンプルに可愛らしいイメージを求めます。  なんだかんだいっても家庭の財務大臣は奥様ですから、奥様の合意がなければ、家を建てる事はできませんよね。(令和の常識だそうです。)  お子様方が巣立ち大きな家が必要無くなり、平屋に建て替える方も増えています。簡単な切妻屋根で軒を深く確保したシンプルないえが人気だそうです。

 

 

 

雨漏りの音  ポタポタ音

天井からポタポタと水があたる音がしたら、「雨漏りが起きている?」と思う方が多いと思います。 けど、雨漏りの場合とそれ以外の場合があり、それぞれの対処法を行わなければなりません。 放っておくと家の劣化に繋がってしまう可能性があるため、早めに業者へ依頼しましょう。

天井から雨漏りの様なポタポタ音が聞こえる原因

天井から雨漏りの様な音がする原因は「雨漏り」とそれ以外の2パターンに分けられます。

雨漏りの原因は 屋根・外壁・サッシ の3つです。

屋根からの雨漏り

屋根が破損していると、そこから雨水が侵入し天井へ滴下している時にポタポタ音がします。原因は以下です。

  • 瓦やスレートなどの屋根材が破損している。  台風等の強風による屋根材の割れよりも飛散物による破損や劣化による割れ。スレート(カラーベスト)の割れは劣化による場合がほとんどです。
  • 板金と釘の間に隙間や浮きが出来ている。 棟板金や雨押え板金などの釘の浮きや隙間は下地材の木材が劣化や腐食していることが原因だと思います。
  • 谷板金が腐食している。 トタン板の場合は劣化によるものではありますが、トタン板の寿命です。 何度か塗装をされている場合は、逆にトタン板の寿命を速めてしまう事あります。ガルバリウム鋼板に交換することをお勧めします。
  • コーキングが劣化している。 屋根上のコーキングは劣化がとても早いです。棟板金や雨仕舞板金の表面のコーキングは特に劣化が早いため、板金の重ね部分は板金の内側にしっかりと捨てコーキングを施し、ハゼ折し水返しを施す事が重要です。
  • 屋根材の下にある防水シートが破損している。 防水シート、アスファルトルーフィングの寿命は10~15年程です。 スレート(カラーベスト)屋根は防水性が低いため、アスファルトルーフィングの劣化は致命的でしょう。
  • 漆喰が崩れている。 漆喰が崩れるということは、棟瓦なども崩れてくる可能性があります。もしくは、すでに棟瓦などが崩れている可能性があります。

このような屋根の不具合によって雨漏りしている場合は、屋根を適切に修理する事でポタポタ音が発生しなくなります。

外壁からの雨漏り

もし1階の天井からポタポタ音がする場合は外壁が原因かもしれません。 外壁からの雨漏りは意外と多く天井からの雨漏りと違って気づきにくいのが特徴です。

  • コーキングが劣化している。 コーキングの劣化、ひび割れは雨水を吸い込みます。サイディング材本体も水を吸い込むので下地木材や通気材の劣化が早くなります。 開口部廻りや開口部の上下は要注意です。 
  • 外壁がひび割れている。 モルタル外壁・ジョリパット仕上げなどは少しのひび割れから雨水が入り込めば、ひび割れ範囲が広がって行きます。
  • 水切りなど板金部材が不具合を起こしている。 水切りなどの部材が適切に施されていないと雨水が横走りして外壁の内側に回ってしまいます。
  • 笠木が変形したり、浮いたりしている。 笠木の折下げ部分の外壁や防水シートが適切に施されていないと雨水外壁内側や建物の内側にに入ってしまいます。 笠木の取付金具や下地木材が水平のなっていないと、笠木が水平に保てず、より雨漏りの原因なります。

サッシからの雨漏り

2階以上のサッシから雨水が侵入し、下の階の天井で雨漏りを起こす事もあります。 サッシからの雨漏りするケースはとても多く、ポタポタ音が発生する大きな原因です。

  • コーキングの劣化で隙間が出来ている。 コーキングの劣化やひび割れ、サッシ枠際の隙間はダイレクトに外壁の内側に雨水が入り込みます。
  • 防水シートの施工不良。 防水シートの施工不良の場合は、サッシの隙間やコーキングの劣化から入り込んだ雨水が防水シートの裏側、すなわち柱や室内の断熱材まで回ってしまいます。 そのため、2階のサッシからの雨漏りした場合は柱を伝わって1階の壁まで水が落ちて来ます。
  • 耐風性能が弱い。 通常の雨では問題ありませんが、強風を伴う豪雨の場合はシャッターや雨戸を閉めることをお勧めします。
  • 外壁がひび割れを起こしている。 サッシ廻りの外壁がひび割れている場合は、ダイレクトに雨水が外壁の内側に入り込みます。

極まれなケース

極めてまれに起きるケースがあります。それは雨樋です。軒ゼロ住宅や軒の出が600未満で起きる事があります。 軒樋の破損や集水器などの落とし口のゴミ詰まりが原因で雨水が破風板や軒天の裏側にに侵入して天井裏や室内壁に染み込む事があります。 軒樋の破損や集水器などのゴミ詰まりが原因なのは雨樋の修理や掃除をすれば治りますが、そもそも論でいうと「軒の出が少ない事が問題」と言いたい・・・。こればかりは時代の流行り廃りで仕方が無いですかね。

天井からのポタポタ音を調査する方法

天井から水滴音がするからと言っても、それが雨漏りによるものとは限りません。調査した結果、水滴の原因が雨漏りではなかったことが判明する場合もあります。

まずは、どこに水が落ちてきているのか探しましょう。天井の点検口がある場合はライトがあれば天井裏を実際に見ることができます。 天井裏に上がるのは非常に危険です。踏み外すと天井から抜け落ちますので、点検口から目視出来る範囲の確認作業にとどめて下さい。

  • 断熱材が濡れている。破れている。
  • 水が流れおちている。流れた跡がある。
  • 木材が湿っている。腐食している。

雨漏りが発生している時はこのような症状が見つかる可能性があります。 水が落ちてきている場所が判明した場合、真上やその付近で雨漏りの原因箇所が発見できる事があります。

天井の配管を確認する

天井裏に配管がある場合、2世帯住宅や2階にトイレなどの給排水設備がある家は、天井裏配管んが不具合や破損して水漏れを起こす事もあります。

パイプの曲がり部分や接続ソケットなどからの水漏れが確認されたら、止水栓を閉める事で応急処置をし早急に業者に修理依頼をしてください。 天井裏配管の給水配管の水漏れは漏水です。 天井裏配管の給水管または排水管からの漏水の場合は広範囲に天井濡れてしまいます。 天気の良い日が続いているのに天井が広範囲に濡れている場合は天井裏配管の漏水を疑った方が良いでしょう。

結露の発生

結露で発生した水滴が集まって天井に落ちてきている事が原因になっているケースもあります。 天井裏の木材や配管が全体的に濡れたり、冬だけ、または暖房を使っている時だけ、音が聞こえて来る時はけつの疑いがあると言えます。

金属瓦 ガルバリウム鋼板

金属瓦とは、鋼板.アルミニウムなどの金属で作られた屋根の瓦です。正確には瓦の形のように金属の鋼板をプレス加工した屋根材です。 瓦の原材料としては、数種類あり粘土や陶器・スレート・石・金属などがありますが、金属は薄く出来るので、最も軽量でである特長があり、近年では広く使われています。 金属瓦のうち多くが鋼板であり、中でもガルバリウム鋼板が耐久性の高さで有利なので多く使われています。 ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛の合金を鋼板の両面にメッキして、さらに表面処理や特殊塗装仕上げした鋼板で、耐久性を飛躍的に向上させたものです。アルミニウムの長期耐久性と亜鉛の犠牲防食作用および自己補修作用により長期にわたり鋼板の錆びを防止します。

金属瓦の使用用途

金属瓦は軽量で地震に強く耐久性や加工性などの長所があり、住宅をはじめ事務所・工場・店舗などの、あらゆる建築物の屋根に使われています。 住宅では日本瓦のような伝統的重厚な風格なものや、モダンな新鮮さを加えた雰囲気が出る、和風・洋風どちらにも使用出来るものがあります。 金属瓦は粘土瓦の約1/10またスレート瓦の約1/3の重さであり、屋根の支持材も簡略出来るので、トータルコストを抑えることが出来ます。 地震の時の揺れに強く出来るばかりでなく豪雪耐力を上げる対策にも対応出来ます。

金属瓦の特徴 メリット・デメリット

  • 金属瓦の特徴  見た目的な特徴は大きく分けて2種類で、和瓦風と洋瓦風のものがあります。和瓦風の製品は455㎜の幅で棟から軒先まで1枚の鋼板で葺き上げる縦葺きの製品と、働き幅が350㎜程で有効長さ1360㎜程の鋼板を横方向に1段づつ葺き上げていく製品の2種類です。洋瓦風の製品は横方向に1段づつ葺き上げていく製品になります。使用鋼板はガルバリウム鋼板・カラーステンレス鋼板・ジンカリウム鋼板です。一般的にはガルバリウム鋼板を使用する事が多いでしょう。
  • メリット  ①金属瓦は従来の和瓦に比べて重さか1/10程度と非常に軽いです。そのため屋根材を金属瓦にする事で耐震性の向上とコストカットが見込めます。 ②金属瓦はメンテナンス費用が安く抑えられます。金属瓦は耐久性に優れているため20年前後に1度のタイミングで塗装すれば良いとされています。(私見ですが、ガルバリウム鋼板などの金属屋根材の塗装はお勧めしません。鋼板を塗装してもマイナスでしかないと思います。)  ③棟や壁際の雨押えなどの雨仕舞部分の役物が本瓦の場合は下地に土や漆喰などを使用するため、劣化と共に役物部分が崩れたり漆喰がボロボロになるのでこまめな補修が必要ですが、金属瓦は下地材に木材や樹脂の下地材を使用し役物も同質のガルバリウム鋼板わビス止めするので役物部分の耐久性も向上します。

デメリット  ①金属瓦のガルバリウム鋼板が主ですが、鋼板の厚みが0.35㎜・0.4㎜・0.5㎜とあります。屋根材形状のよって違うのですが和瓦風は0・5㎜、洋瓦風は0.4㎜が使われています。 0.5㎜の厚い鋼板を使用しても物がぶつかると凹みます。施工中の凹みは施工者の責任になりますが、台風や強風時の飛散物による凹みがごく稀にあります。(瓦のは割れるが金属瓦は凹むと思って頂ければ良いでしょう。)  ②本瓦よりも金属瓦は断熱は落ちます。金属なので熱を吸収するのは避けられません。  ③費用が瓦屋根よりかは安いが平葺の金属屋根より高い。金属屋根としての㎡単価が他の金属屋根材に比べると高いです。

デメリットは施工方法しだい

デメリットは、ある意味デメリットではなく、対処法しだいでメリットになります。 デメリットとして述べた3項目はあくまでも金属瓦本体のみで施工した場合です。 凹みや断熱性に関しては続きがあり、和瓦風の製品は凸凹が大きく、施工時に上に乗るだけでも凹む時もあり、細心の注意をし作業をする事になります。建物の形状により下屋根がある場合は、下屋根の上に足場架設を行う事があります。この場合は2階の施工を終えたから下屋根の施工を行うなどしなければなりません。足場の養生をしても凹んでしまう事が多々あるからです。 しかし金属瓦材と同形状の専用のバックアップ材があり、金属瓦材の下に入れることで凹み強化対策としてだけではなく断熱対策としても高い向上性が見込めます。 あくまでもオプション製品ですので、使用されるかは任意になりますが、金属瓦材とバックアップ材はセットと考えて良いと思います。 このバックアップ材は高耐久の物で厚みがあり、固い発泡スチロールの様な素材ですので、金属瓦材強化だけではなく断熱性や遮音性の向上のためにも使用は強くお勧めします。

洋瓦風の金属瓦のジンカリウム鋼板とは

ジンカリウム鋼板とはガルバリウム鋼板とほぼ同じ鋼板で、外国産の鋼板になります。 日本ではジンカリウム鋼板として販売されている鋼板の組成を日本JIS規格に当てはめると、ガルバリウム鋼板とがります。国により呼び名が、各国の特許申請時の呼び名が違うからだと思います。 

ジンカリウム鋼板は外国産の鋼板で、表面処理に石粒が(天然石)付着しています。そのため日本では石粒付き鋼板の事をジンカリウム鋼板として認知されつつあります。 主な製進国は韓国・ニュージーランド・中国です。 洋瓦風の金属瓦材でジンカリウム鋼板を使用している屋根は外国産の製品を使っていることになります。 (主に韓国製が8割以上だと思います。)  石粒付きですので、積雪地域では落雪防止に特化した製品であると言えます。錆びに強い事もあり、沿岸地域での採用率が多くなっています。

万能的なジンカリウム鋼板ですが、デメリットもあります。 石粒付きがゆえに、雨水の流れが緩やかでホコリなどが貯まりやすく、コケが生えやすい製品でもあります。山間部地域や河川敷付近では枯れ葉や砂埃の蓄積により、コケが生えやすく汚れや劣化が速まる可能性があります。 一番多いクレームとしては、石粒が取れてしまい、雨樋の中で溜まって詰まってしまう事があります。この場合はコケが生え前に石粒が取れてしまう事が多く、屋根材の色褪せも速まります。 メーカーでは、30年~50年などあいまいな保証期間を提示していますが、輸入元の代理店が補償するのか?製造元の外国業者が製品保証を負うのかは、定かではありません。製造元の外国業者が補償をするとは思えませんよね。(K国なら) 施工後20年前後の屋根を見た事がありますが、石粒が取れて、色褪せや錆びが広範囲で確認されました。 20年前と比べて現在では製造技術進歩しているので現在製品に関しては高い耐久性があると思います。

 

瓦屋根 推しの年長者様へ伝えたい

家を丈夫で長く持たせたいという意味で屋根材に何を選ぶか?というのはとても重要です。 瓦をお勧めされるお父様方(お爺様)のお気持ちはよく分かります。そりゃそうですよ何と言っても伝統というか歴史間のが違いますからね。一方で金属屋根 ガルバリウム鋼板なんて流行ってきたのはここちょっと前の感覚ですものね。物としては何十年も前にあったんですが世間に周知されてデザイナーの人も使う様になったのは最近の事です。それを見たら年長者のお父様方にしたら、子や孫が新築やリフォームを検討している時に家づくりに失敗させたくないからと瓦を勧めるのはよく分かります。それを踏まえて瓦屋根がどんな屋根か考えてみましょう。

瓦屋根とはどんな屋根

  • 昔の瓦屋根  柱が立って梁が横に通りその上に垂木という角材を上から下に流してあってその上に野地板という板を貼って、そして野地板の上に防水になるもの水を切っていくものを貼ってそして瓦を葺いていくという形でやってました。 これは今でも基本は変わらない。変わらないですが、昔と今が違った事がポイントになります。昔は違ったところは野地板がバラ板といって10~12cmくらいの幅の板を使用していました。野地板1枚毎に少し隙間を開けて張っていました。この上に昔は(極端に昔過ぎますが)とんとん葺きという工法を行ってました。もう50年程昔に廃れというか世の中からだんだん消えていった工法です。とんとん葺きの特徴はサワラの木という木がありまして、それを薄く削いで板みたいなやつを並べて1枚1枚細かく重ねて鱗のように張っていく工法です。ちなみになぜとんとん葺きと言うかは、1枚1枚細かく釘でとんとん打ち付けるからその様を用いてとんとん葺きと呼んでいたらしいです。この作業はとても手間がかかり根気のいる作業なため昔はとんとん葺き職人がいたらしいです。 このとんとん葺きの上に初めて瓦桟を打ち瓦を引っ掛けて瓦を葺いていた。この野地板の隙間ととんとん葺きの毛細管現象を利用した水を切りが最高パフォーマンスをしてくれます。
  • 現在の瓦屋根  柱が立って梁が横の通りその上な垂木という角材を上から下に流しその上に野地板を張って防水紙を張ります。その上に瓦桟を打ち瓦桟に瓦を引っ掛けて釘打ちして葺きあげます。現在では野地板は3尺×6尺8(910×1820)の構造用合板を使用し防水はアスファルトルーフィング又はゴムアスルーフィングを使います。

昔の工法が非常に理に適ってたのはなぜか

下地の丈夫さを維持する最大のポイントは通気なんですよね。 屋根材と下地材、屋根裏に空気が上下に通るのがポイントで、昔の工法は野地板隙間があり、そしてその上のとんとん葺きも板の薄いのを重ね重ねなので当然すきまから通気出来るのです、ということは木材が腐りにくい。 現在のルーフィングは防水紙でベタっとした平面で連続して張って水を1滴も漏らさないという形を基本にしていますけど、とんとん葺きは漏れるとかじゃなくて水が切れていく、流れてどんどん軒先に切れていくことの防水なので収まり防水なんです。 一方で現在はシート防水みたいな感じです。 昔は高気密高断熱とか関係ないから換気し放題でそれが躯体を長寿命にする最大のポイントだった。それに合わせて瓦を乗せたら尚良いってことで昔の人はこれこそが最強の屋根って事ですごく重鎮したわけです。

施工方法による寿命の変化

一方で時代が瓦葺も変わってきました。垂木までは一緒です、でも野地板がコンパネ・構造用合板を使用するので基本的に隙間なく張るので通気は非常にしにくくなります。その上にはルーフィングを敷きます。アスファルトルーフィングやゴムアスルーフィングなど、これは耐久性が10~20年程あるがこのルーフィングが効いている時に関しては非常に防水性能が高いので下地が傷むことは少ないが劣化してきたら多少の雨染みが発生します。多少の雨染みがあってもいいんですよ、1滴でも漏れたらダメと思われますけど、多少入っても乾いていけばいい。つまり野地板とルーフィングの間が空気が通ってくれたら本当はいいんですが残念ながら現在の施工ではほぼ通らないので結果、通気力がないので野地板の寿命は短かい。 瓦自体の寿命は長いが瓦と野地板や垂木の間の通気に関してはパフォーマンスが落ちている。瓦は素晴らしいんだけども昔の工法ほどの耐久性が現在の工法であるかと言うと微妙です。なぜ昔の工法が廃れたかというと地震の問題や施工の無理・ムラみたいな事もあり現在に至る。

瓦屋根のターニングポイント

瓦屋根はダメじゃんって思われるきっかけは1995年の阪神淡路大震災の時です。あの時に屋根に土いっぱい乗せて瓦を葺いていた瓦の土葺きという工法の木造家屋が潰れました。瓦は重たいのでその重たい瓦を乗せて十分な壁量が取れていない木造住宅は危険だねぇと言われ始めたのがきっかけです。瓦自体は耐久性ががあるけど重たいということはデメリットとして知っておいていただきたい。 昭和時代の日本家屋は一部屋が大きく部屋と部屋の境目に壁が無かったり続き部屋の様な間取りで柱の数や筋交いの箇所も外壁廻り重視で建物の中心は強度に不安がある家屋が多かったのも大きな原因です。1995年以降1995年以降、屋根の比較基準が長寿命から屋根の重たい軽いに変わりました。近年でも様々な震災が起きていますが、倒壊家屋のほとんどが瓦屋根の古い家屋です。耐震基準を満たしていない事が原因でしょう。壁量不足や基礎の弱さと瓦屋根の葺き替えを同じ瓦で葺き替えたからでしょう。軽い屋根材の葺き替えれば倒壊は回避出来たかもしれません。 もう一つは近年では屋根の2次利用として太陽光発電を乗せるお宅が多くなりました。その時に瓦屋根でも出来るんですけれども瓦は特殊な架台だ乗る様な又は特殊加工をした瓦もあるのでそれを使えばいいんですけども、それに比べたらガルバリウム鋼板の方はキャッチ工法ということで結構簡単に出来るところもあって、太陽光発電との親和性があるということです。

まとめ

瓦を推しの方に言いたいのは、昔の長い歴史の中で瓦の信頼性という中で工法の変化で通気や2次防水の点に関してアプローチしなかったら100%の瓦のパフォーマンスは出にくいということは判断材料にある事を知っておいてほしい事と瓦屋根を選択のであれば重たいということでそれのあう耐力壁の配置や基礎の強化をしっかりとやっておいて頂きたい。そしてガルバリウム鋼板に関しては、どうもまだ誤解があるようで、カラー鉄板を想像されてしまう方が結構いらっしゃる。ガルバリウム鋼板とカラー鉄板を比べると素材そのものが違います。まあ見た目は同じですが、カラー鉄板はメンテナンスをすれば15~20年ぐらいの感じですが、ガルバリウム鋼板は長く25~30年と言われている事を知っておいて頂きたい。(ガルバリウム鋼板はよほどの事が無い限り塗装工事はしないで下さい、逆効果です。) 軽いし太陽光発電との親和性も良いということです。屋根は屋根材の素材だけの耐久性で良い悪しを決めるのではなく重さとか工法との親和性の問題で複合的なものなので慎重に検討してください。

 

 

家主さん・スレート屋根塗装する前に理解してますか

今回は1996年から2009年に家を建ててスレート瓦(カラーベスト)を使った家主さんで、そのスレート瓦の塗装を検討または決定している家主さん。チョット待って下さい。冷静に考えて本当に良いのか?私の話を聞いてからにしてください。

スレート瓦とは?

スレート瓦とは、セメントと繊維材料を高温高圧下で形成しその上から塗装を施した人工的な屋根材です。もともとは主原料として天然繊維の石綿(アスベスト)が使われていましたが、現在では環境への配慮から人工繊維や石綿以外の天然繊維をベース作られています。スレート瓦というと一般的には平型のスレートをさします。厚さ5.2㎜ : 横幅91㎜ 主成分の85%~90%がセメントで10%前後が人口繊維で作られているのがカラーベストです。業者によってはコロニアルと呼ぶ方が多いでしょうが、カラーベスト商品ラインナップの中で看板商品が長年コロニアルであった事に由来します。 北海道や東北地方などの北国では使用されない屋根材です。なぜかというと主原料の8~9割がセメントなので寒さに弱く水を吸ってしまった場合は凍ってしまいます。(セメントは防水剤を塗らないと水を吸います)また雪下ろしが出来ない事も理由の一つです。 5㎜程度のセメントが凍って膨張すれば破損するのは当然のことです。天然繊維の石綿であるアスベストで強度を保てていたものの、そのアスベストが使用禁止になり人口繊維へと変更、改良し現在でも多くの住宅の屋根材として採用されています。

1996年~2009年のスレート瓦

なぜ1996年~2009年のスレート瓦が問題かというと、2004年にアスベストの使用が禁止される事をうけ、各スレートメイカーは事前に研究改良をしていました。使用が禁止なる前の1996年にはノンアスベストのカラーベストを販売開始しました。1996年~2009年までの製品が初期製品なのですが、とにかく不具合が多過ぎるというか強度が弱すぎる。その後メーカーでの再改良をし多少の強化は見込めるようにはなりました。

    危険なスレート瓦  
年代 メーカー 商品名 特徴的
1996年~2008年 ニチハ  パミール 層間剝離・表面滑落
1996年~2007年

旧松下電工

(現パナソニック)

レサス 割れ・滑落が多く発生する
2001年~2003年

旧松下電工

(現パナソニック)

シルバス 割れ・滑落が多く発生する
2001年~2005年

旧クボタ

(現ケイミュー)

ザルフグラッサ 割れ・滑落が多く発生する
2003年~2008年

旧クボタ

(現ケイミュー)

コロニアルNEO ひび割れが多い

上記の事を業者さんが知れない可能性がある塗装職人さんもリフォーム会社の営業マンもこの事実を知らない人が多い、そのまま家主さんに塗装をススメてしまっている場合があるので恐ろしいことです。一番多いのがコロニアルNEOでこの年代のスレート屋根の大半がコロニアルNEOだと思います。このコロニアルNEOは南側の屋根面がひび割れが多い傾向があります。(紫外線に弱いと思われます。メーカーは発表してないけどね) そしてパミールが1996年~2008年と最も長く販売されている商品ですが、層間剝離が酷く表面滑落が多く見られます。 これを普通に塗っている家がたくさんいらっしゃるんですけど・・・家主さんと塗装業者双方がこの事実知っていて承知の上で塗っているならまだ分かりますけどね。 剝がれる・割れるって分かっている素材に塗って意味じゃん、金の無駄だと思うのは私だけでしょうか? 

保証の問題点

今現在では、上記のスレート瓦は保証されていません。(保証期間が終了しています。)新築時施工後10年間は対応してくれていましたが、現在では「自分で何とかして下さい」というスタンスです。 メーカーが塗装業界や塗料メーカーに説明なり通告するのが筋だと思いますが通告しても塗装業界の反発をくらうのが分かっているのでしないのかな?  築15年程で屋根塗装を検討している中、リフォーム会社や塗装業者に見積依頼して「塗れません」という返事が返って来るとは誰も思わないでしょう。だかが築15年程でダメなんて想像出来ないと思うます。見積依頼を受けた業者も言いずらい部分もあるが、この事実を知らないで受注したり、知ってても受注してしまう事があるのも事実です。(説明したら自分達の仕事がなくなるから)

リフォーム時の屋根塗装の保証内容は塗装部の剥離だけです。自分たちが塗った塗料が剝がれた場合のみです。なのでスレート瓦の本体自体の劣化で層間剝離や割れが発生しても、塗料が現在ではなく素地であるスレート本体の問題点(特徴)なので塗装後の割れや剝がれは保証外になってしまう。 見積時や契約前に説明し双方合意があれば塗っても問題ないと思います。 また塗装後の割れやスレート自体の劣化剝がれで雨漏りが発生しても保証はしてくれません。スレート瓦自体の問題だからです。塗装工事中は当然ですがスレート瓦の上に乗る訳ですが、この時期のスレート瓦は大変もろくゆっくり乗っても割れてしまいます。塗料で表面だけは綺麗でもスレート瓦の裏側はひび割れは発生している事もあり、毛細管現象で吸い込んだ雨水がスレート瓦の裏側に廻り雨漏りが発生事例がありますが、これも保証外になります。あくまでも塗った塗料の剝がれだけの保証のみです。

まとめ

1996年~2009年に施工されたスレート瓦(カラーベスト)屋根の塗装工事はやめたほうがいい。塗料や塗装職人の良し悪し以前に、スレート瓦自体に問題がある。たとえ最高級の塗料を使用し、凄腕のレジェンド塗装職人が屋根塗装施してもスレート瓦自体が割れやすい素材なうえ、経年劣化で更に弱くなっている屋根を材塗っても意味のない事です。この事実を知らない塗装職人やリフォーム会社は塗装をすれば屋根の防水性や耐久性が向上すると思っている人が多い事が恐ろしい。屋根の上を歩くだけでもやひび割れが生じる場合屋根材を塗ってどーするの?それにこの時代のアスファルトルーフィングも寿命が過ぎている頃なので、下地防水性能が著しく低下した屋根の上を歩く行為も望ましくない限りです。 2009年以降のスレート瓦も同様です。いくら改良を重ねたとはいえノンアスベスト材です。経年劣化による剝離や割れがが早期におきます。新築施工時の屋根工事で屋根材の上を歩く事によりスレートの中身や裏側にダメージが与えられているからです。(足裏がズシッと下がる事があります。表面は何ともないので気が付きませんが確実にスレートの中身や裏側はダメージを受けています。) スレート瓦屋根は新築時からメンテナンス期以降までのランニングコストがかかり過ぎる屋根材のワーストワンと言えます。

 

最高の屋根5選 

今回も新築住宅を検討されている方へアドバイスをを。価格・耐久性・メンテナンス性・安全性・デザイン性を勝手に判断しましたのでご了承ください。

設計に入るまえにどの様な家を希望されるか?予算は?聞かれた後に具体的に屋根の形状は?と聞かれても即答はできませんよね。デザイン性重視の方は予めイメージが出来ている方もいると思いますが、「設計にお任せします。」なんて方も多いのではないでしょうか。設計完了後プレカットに入ってしまうと屋根の形状は変更出来ません。納得するまで検討する事が大切です。

第5位 陸屋根

陸屋根はその名の通り平らな形をした屋根です。20年前は新築住宅で陸屋根を採用される方は6%だったのが現在では1%と更に少なくなっています。採用されなくなった要因としては、メンテナンス頻度が多い事です。屋根の傾斜がなく雨が流れにくいためコケが生えやすく汚れもたまりやすい。屋根全面に日差しが当たり続けることで紫外線による屋根材の劣化が早い。太陽光発電を設置する事が多くなった。太陽光発電のパネルは架台が別途必要となる為、平らな陸屋根は雨漏りのリスクがあります。 メリットとしてはデザイン性外観をシンプルする印象があります。屋根上を歩ける事が出来ます。屋上菜園や洗濯物干しなどに使用される方もいます。(らしい?私はいらんけど)

陸屋根のおすすめ屋根材はガルバリウム鋼板の立平葺です。勘合式よりもハゼ式の立平葺の方がより防水性が上がるためお勧めです。一般的に陸屋根を想像する際にシート防水やFRP防水の様な防水材をイメージする事が多いかと思います。シート防水やFRP防水は紫外線に対して劣化が早く、紫外線を受ける陸屋根には適した部材とは言えません。この防水材がメンテナンス地獄の要因です。対してGL鋼板は日差しに対して耐久性が高くメンテナンス地獄から解放してくれます。大手某ハウスメーカーはGL鋼板の立ハゼ部分に太陽光パネルの架台を専用の金具で取り付け屋根に穴をあけることなく施工することでシェアをのばしています。

第4位 切妻屋根

切妻屋根はシンプルな外観で現在も多く採用されている屋根です。20年前の時点で3割だった採用率が現在では4割と更に増えています。切妻屋根のメリットは価格が安い事です。屋根形状がシンプルで棟の部材や手間が多くかかる部分が少ない事から費用を抑えられるということです。しかし落とし穴があります。それは外壁の仕様によるということです。切妻屋根は他の屋根に比べて外壁の面積が大きくなります。それは棟の下の三角の部分が広くなるからです。つまり屋根の費用は安くなっても外壁の費用が上がってしまうのです。例えば屋根にGL鋼板屋根材を採用しても外壁材に高価なタイル張りを採用すれば逆に費用が高くなるからです。 「サイデイングだから問題ない」と思う方・・・残念ですがそれも要注意です。切妻屋根は棟の下の三角の部分がむき出しになります。この部分の外壁は雨風を受けやすく外壁の劣化が早くなります。サイデイング外壁の場合は塗装やシーリングの打ち換えといったメンテナンス頻度が多くなり結果的にランニングコストがかかってしまいます。 対処法としては軒の出を多く出す事や、外壁材に金属サイディング採用することで塗装やシーリングの打ち換えなどのメンテナンス頻度を抑えられます。

第3位 片流れ屋根

片流れ屋根は切妻屋根より更にシンプルな形状でその名の通り片方に雨水を流すための勾配が付いている屋根です。 こちらは20年前には2%だった採用率が現在では30%の採用率になっています。特に15年程で一気に伸びているのですが要因としては太陽光発電の急増が挙げられます。片流れ屋根はシンプルな形状なゆえに全ての屋根面を発電効率の良い方向に向ける事が出来ますから太陽光発パネルのための屋根といっても過言ではないでしょう。そんな太陽光発電ありきの片流れ屋根ですが発電効率を意識しすぎると失敗さてしまいます。 片流れ屋根の失敗しやすいポイントはデザイン性に関係します。片流れ屋根は雨水を1方向に流しますのでどの方向に流すかによって家の形状が異なります。側面から見れば屋根の勾配がよく見える形になり、水上側から見れば陸屋根の様な四角いシンプルな形状とする事も出来ます。ただ水下側が正面になった場合は屋根が見えてしまいます。南側道路の場合は太陽光発電の発電効率ありきで考えるとこういった形状にになってしまいますので十分外観に納得のうえで採用してください。 また、もう一点注意が必要なポイントがあります。地域限定になりますが雪害です。積雪地域での太陽光パネルは危険性がたかまります。特に片流れ屋根は雪が1ヶ所に落ちます。太陽光パネルを設置した場合い雪止め金具が機能しずらくなります。落雪に十分な注意が必要な事と雨樋の破損が多いため肝に銘じてください。

第2位 段違い屋根

段違い屋根はその名の通り屋根が段違いしている屋根です。差し掛け屋根や招き屋根ともいわれます。 切妻屋根を1段ずらした様な形が多いですが、片流れ屋根を途中で1段ずらした様な形状もあります。 段違い屋根のメリットは室内空間を豊かに出来る事です。室内の間取りとその相性を考慮する屋根形状となります。段違い部分の外壁面に窓を設ける事で室内に採光を取り入れたり、重力換気を促す事が出来ます。また小屋裏空間を利用して各部屋の天井の高さを変化させるこその空間の特徴に合った使い方が出来ます。ホールに部屋をぐるりと囲んで窓が取れない場合に段違い屋根を採用することで上部に窓を設置する事が出来ます。 他の屋根よりも特徴的でデザイン性にもお勧めです。 段違い屋根の注意ポイントは価格です。他の屋根に比べて確実に高くなります。窓を設置する際の防水処理や断熱性・気密性の連続性や上の屋根の荷重を下の構造にしっかりと伝えるための構造設計など気を付けるポイントはたくさんあります。ですから段違い屋根の施工経験がある工務店を選んで下さい。構造や雨漏りは、やる気と気合ではどうにもならない部分ですので、経験と実績で選んで下さい。

第1位 寄棟屋根

寄棟屋根は一番メジャーな屋根形状です。20年前の採用率は50%でしたが現在では切妻屋根(4割)片流れ屋根(3割)に次いで3番目の採用率となっています。採用率が下がった要因は太陽光発電の相性の悪さが挙げられます。寄棟屋根は4面に向いた屋根形状ですから各方向の間に下り棟あり、太陽光パネルを敷き詰める場合下り棟が障害となります。太陽光発電と相性が最も良い片流れ屋根の採用率の上昇に比例して寄棟屋根は採用率がが減少しています。

寄棟屋根がなぜ1位かというと、寄棟屋根は日本の風土に最も合った屋根形状だからです。 寄棟屋根は4方向に深く軒を出す事が出来ますから日差しを遮る事で日射や紫外線による劣化を防いでくれます。また軒を低い位置まで降ろすことで台風等の風雨に対しても家を守ってくれます。気象に対して最も効果的な屋根形状と言えます。

 

 

メンテナンスフリーの家とは❓

最近、各ハウスメーカーやリフォーム会社などから「メンテナンスフリーの家」と言ったキーワードが発信されています。メンテナンスが不要なマイホームならば購入後、又はリフォーム後の心配が無くなると思いませんか。ですが...「メンテナンスフリー」とは近年、我々日本人が都合よく使う和製英語の一つであると思われます。 まず大前提として覚えていただきたいのが「メンテナンスが永遠に不要な住居は存在しません。」ということです。それは、たとえ外壁や屋根そのものの資材の耐久性が高く塗装の必要もない素材であっても、資材を接着する接着剤や下地材などが老朽化すれば当然メンテナンスが必要になるからです。 メンテナンスフリーの家とは長期間メンテナンスの必要がない住居を指します。

長期間メンテナンスフリーとは

長期間が何年を意味するのかはハウスメーカーやリフォーム会社によって異なりますが10~30年程の耐用年数を持った外壁や屋根資材を耐用期間の長い資材とみなしメンテナンスフリーと呼んでいます。 その為ハウスメーカーではメンテナンスフリーの住居であっても定期点検に加えて5~10年に一度のメンテナンスが推進されるケースが一般的です。

押さえるべき4っのポイント

  1. 耐久性・耐火性・耐震性  耐久性の強い資材であれば交換の必要がなく長期間使用することができます。万が一火災や地震が住居を襲っても丈夫なように外壁や屋根の資材の耐火性・耐震性を確保することも重要なポイントの1っです。
  2. メンテナンスのしやすさ  建物の形状や立地環境も考慮すべきです。風当りや日当たりの強弱により外壁や屋根へのダメージは変わります。
  3. 費用  かかる費用も重要なチェックポイントです。メンテナンス費用のかかりやすい箇所の代表格である外壁は足場を組むだけで、多額の費用が発生するため出来るだけ大がかりなメンテナンスとならない外壁を採用することが理想的です。
  4. 資材の種類  軽量な資材を使用した方が地震の揺れに強い利点があります。また素材そのものの色が綺麗であれば色褪せの心配も少なく再塗装する手間も省けるでしょう。

デザインや防音性といった点も気になりますが、メンテナンスフリーの内容を検討する際は4っのポイントを押さえることが大切です。

メンテナンス頻度を抑えられる外壁資材

  • サイディング(窯業系・金属系) 外壁に用いる仕上げ材の板のことをサイディングと言います。ひと昔前はモルタル外壁に塗る事が主流でしたが現在では工期短縮や安定した品質のメリットからサイディングを利用した外壁が増えています。 サイディングと言っても窯業系(ようぎょうけい)・金属(ガルバリウム鋼板)・木質・樹脂と様々な材質があります。その中でも耐久性に優れているのが窯業系や金属系のサイディングと言われています。窯業系や金属系のサイディングであれば、色褪せやひび割れも起きにくく、長い間サイディング本体を交換しないで利用し続けれれます。もちろん永遠に劣化しないわけではないので定期点検が求められるほか、劣化や汚れの生じやすい目地(コーキング材)の部分補修が必要です。
  • タイル  耐久性の高い材質として評判の高いのがタイルです。サイディングと比べても高い耐久性があり風雨や強い日差しによる劣化の少ない材質です。タイル自体の劣化がほとんどない事から、メンテナンスする際には下地や目地の部分的な補修で済ませられるのも大きなメリット言えます。高級感のあるタイルは住居をオシャレに見せる効果があることから、外壁えおタイルにしようと考える施主様も少なくありません。この様に耐久性と高級感を兼ねたタイルですがネックとなるのが価格面です。サイディングの倍の初期費用がかかるケースもあるため費用面で外壁タイルを断念される方も多いです。

メンテナンス頻度を抑えられる屋根資材

  • 日本瓦  日本で古くから利用されている瓦は耐用年数の長い資材の1つです。セメントで作られた瓦の耐用年数は30~40年ほどですが、粘土が素材の伝統的な日本瓦の場合50~80年の耐用年数があると言われています。日本瓦は耐火性・防水性に優れているのに加え塗装する必要があまりないことも大きな強みです。 デメリットとしては瓦に重みがあるため地震が発生した際には揺れを感じやすい建物構造となってしまうことが挙げられます。
  • 銅板  銅板も日本瓦と同様に古くから日本の住居に使用されてきた耐久性のある屋根材です。耐久性があるだけでなく軽量であることから、耐震性を期待出来ます。和風の建築と組み合わせると建物の統一感がぐっと増すため和風テイストな住居を考えの方にとっては魅力的な屋根資材と言えるでしょう。 デメリットは防音性の低さがあります。雨音が大きく響きやすいため、気になる方にはストレスに感じます。近年では酸性雨との関係で資材の改良や素材である銅の時価も高騰もあり一般住宅ではあまり使用されていません。神社仏閣等の建造物に使用されています。
  • ガルバリウム鋼板  ガルバリウム鋼板はアルミニウム・亜鉛・シリコンを混ぜ合わせ作られた資材です。軽量で耐久性に優れていることから屋根資材だけでなく外壁資材にも使用されています。ひと昔前は屋根材と言えば瓦でしたが、最近ではガルバリウム鋼板の様な金属屋根を採用する住居が増えています。錆びにくくメンテナンス頻度を抑えられるガルバリウム鋼板ですが、厚みがないため他の資材と比べると断熱性や防音性が低い傾向にあります。そのためガルバリウム鋼板を屋根資材として使用するには断熱材を加えたり断熱効果を備えたガルバリウム鋼板を使用したりするケースが一般的です。 

まとめ

住居を購入またはリフォームした後にメンテナンスをしないでも良い建物など存在しません。メンテナンスフリーとはハウスメーカーが作ったキャッチコピーすぎません。(紛らわしい(笑)) 震災などの災害後は「高耐震性の家」をうたい文句でしたが、耐震基準が建築基準法で重視され高耐震性が標準化した近年で絞り出したキャッチコピーが「メンテナンスフリーの家」なのでしょう。形あるものはいずれ壊れます。まして過酷な自然環境に日々晒されている建造物にはダメージがあります。劣化は避けられませんのでいかに耐久性の高い資材を選択するかがポイントだと思います。 住居の形状も複雑な形などは避けシンプルで屋根や外壁に風雨の負担がかからない形状の建物を選択された方が屋根や外壁が長持ちし、メンテナンスが必要になった場合に費用を抑えられる傾向があります。