2023年06月

一度雨漏りした家 再発の可能性があるのか?

『雨漏り』というワード聞くと古い家と想像する方が多いかと思います。しかし築30年前後の家でも一度も雨漏りしたことのない家が大半です。昔と今では家のデザインと形や使用している建材や工法(納まり)が違うため、雨漏りが発生する箇所や原因は異なります。1990年代頃までは切妻屋根や寄棟屋根といった形の屋根で軒の出が90cm前後の家が標準でした。そして窓や勝手口などの開口部上には霧除けや庇が設けられていました。 現在では対照的に軒の出が少なく、片流れ屋根が人気で窓などの開口部も外壁とフラットで全体的にスッキリした外観の建物が多く見られます。 昔の家と近年の家では雨漏りが発生しやすい箇所が異なります。

雨漏りが発生し易い箇所

  近年の雨漏り箇所 築30年前後の雨漏り箇所
外壁からの雨漏り 屋根からの雨漏り
屋根からの雨漏り ベランダの防水・笠木
ベランダ・排水 外壁からの雨漏り
サッシ・窓 サッシ・窓廻り
5 雨樋からの雨漏り  

 

昔の家の雨漏りは8割程が屋根からの雨漏りでした。瓦屋根やカラーベスト屋根が多く棟の不具合や壁際の雨仕舞が原因です。また災害による屋根材の破損が多くの原因でした。 軒の出が多いのと霧除けや庇が設けてある為サッシ・窓廻りや外壁が原因の雨漏りは少なかったです。また軒の出が多い為雨樋が外壁から離れているので雨樋に不具合が発生しても室内へのの雨漏りはほとんどありませんでした。 瓦屋根の雨漏り原因は棟や壁際の漆喰の劣化によるズレと瓦本体のズレや割れが多く、これらは災害による破損が原因です。大雪で2.3日屋根に雪が積もった状態だと少し溶けた雪が夜に凍り水分量も増し翌日に凍った雪が下に落ちようとする荷重で瓦本体が引っ張られてズレや割れが起きます。 台風時は強風と豪雨が直接瓦を攻撃したり、飛散物が瓦を破壊する場合もある。 カラーベスト屋根(スレート屋根)では棟板金の下地劣化による棟板金の飛散や不具合が多く、また谷や壁際の雨仕舞からの雨漏り原因が確認されます。 全ての屋根はどんな屋根材でも表面で使用されている屋根材は1次防水でその内側に2次防水のルーフィングが敷かれています。瓦やカラーベスト材が破損しても直ぐに雨水が室内に侵入して来る訳ではありません。2次防水のルーフィングがしっかり機能していれば雨水が室内に侵入して来ることはありません。(ルーフィングが寿命を迎えれば機能性が低くなります。)築10年以内で大きな災害に見舞われず雨漏りが発生した場合は施工不備を疑った方が良いでしょう。

近年の雨漏り箇所の多くは外壁からの雨漏りが原因です。 近年は金属屋根の普及が進み、また複雑な屋根形状の家よりも切妻屋根や片流れ屋根がの様なスッキリした外観の屋根が人気で多くのシェアをしめています。金属屋根は防水性が高く、屋根材の裏側に雨水が入りずらい形状で谷や壁際の雨仕舞を適正に処理すれば2次防水のルーフィング迄雨水が侵入する事はありません。 しかし軒の出が浅い屋根が多く、特に軒ゼロ住宅が流行っている事もあり屋根が雨漏りしている様な現象が多く報告されます。それは屋根下の破風と外壁の取り合い部分です。軒の出が多く確保されていない為に本来ならば雨水が当たらない場所に当たってしまう事や破風から外壁に雨水が回ってしまう事が考えられます。また2階のサッシ・窓廻りに雨水が直接当たるようになりコーキングの劣化などが原因で雨漏りが発生する場合もある。同様に雨樋の不具合でも同じ現象おきます。特に雨樋は屋根の雨水を受け止める部位な為、台風や大雨時に大量の雨水が破風や鼻隠しから外壁に伝わることもあります。

外壁からの雨漏りに潜む危険性

  1. 原因特定が非常に難しい 原因箇所や侵入経路が様々で複雑だからです。・サッシ・窓廻の経年劣化によるひび割れ ・外壁同士の繋ぎ目のコーキングの劣化 ・外壁自体によるクラックひび割れ など多くの例が存在します。ひび割れと言っても雨漏りが起こる訳ではなく小さなひび割れで雨漏りが発生する場合もあれば大きいひび割れが出来ているのに雨漏りは起きていなかったということま有ります。原因箇所の特定が非常に難しいです。
  2. 目に見える症状が出にくい 台風や大雨の時に急に雨漏りが発生する場合であらば発見し易いのですが小さなひび割れや目視しずらい箇所の隙間から少しずつジワジワ時間をかけて侵入して来るケースもあり表面化するのに長時間かかる場合もあります。原因の特定が出来ないのに曖昧な修理を行う業者が存在します。雨漏り修理業者だからと言ってもどの業者も適切な修理をする訳ではありません。雨漏り原因特定には長年の経験と知識を求められ未熟な技術しか持たない人だと直せないのです。簡単な修理をして数か月で同じ箇所や近い箇所から雨漏りが再発しては意味がありません、ですがよく聞くことがあります。
  3. 訪問営業の悪徳業者に引っ掛かりやすい 訪問営業の業者は悪徳業者である可能性が極めて高いです。これらは統計上に分かっていて消費者センターでも注意喚起を行っています。この様な業者の手口は 「お家の外壁にひび割れが見つかりました。雨漏りが起きています。」「コーキングの劣化が確認出来ます。早急な修理が必要です。」と言って不安を煽るってきます。また「無料点検」や「今なら5割引き」といった甘い勧誘で必要のない工事を迫ってきます。しかし知識の無い方だとこの様な業者の言う事鵜吞みにしてしまい意味のない工事に何百万円も使ってしまった人も実在します。 外壁に一つ裏側には透湿防水シートが張ってあり、更に近年では通気層が設けてあるので家の内部に雨水が侵入しずらくなっています。透湿防水シートがしっかり機能していれば問題ありません。ですのでこの様な訪問営業には正しい知識をもち捕まらないようにしてください。とは言え外壁のひび割れやコーキングの劣化は雨漏り原因の1つなので早めに優良業者を選定し修理した方が良いでしょう。

雨漏り修理業者について

雨漏り修理業者選ぶときに思い浮かぶのは家を建てた工務店やハウスメーカーに相談する方がほとんどだと思います。それは間違いなく正解に近いです。間違っても訪問営業や県外の業者や地元から遠い業者は避けてください。職人の技術と知識のレベルや経験とプライドが低くお粗末な工事になりかねません。ご自身で修理業者を選定する場合には、雨漏り箇所によって専門職種が違います。・瓦屋根は瓦屋さん ・カラーベスト屋根スレート屋根金属屋根などは板金屋さん ・外壁モルタルは左官屋さん ・外壁サイディングはサイディング屋さん、板金屋さん  と箇所や種類によって専門職種の職人が修理施工をする事になります。専門外の職人が行ったとしても適切な工事ができるとは限りません。

最近多いのは塗装業者系雨漏り修理業者です。塗装業者は塗装のプロであり雨漏り修理のプロではありません。専属の専門業者と提携している業者もありますが、中には無知な業者も存在します。コーティングを打ち換えれば直るとか屋根塗装をすれば直るなど間違った知識で雨漏りの根源を無視し修理して一時は治まったようだが数か月後や1,2年後に再発する事例が多々ある事も事実です。 特に屋根塗装においてはカラーベスト屋根の色褪せやひび割れがの為屋根塗装をする事が一般的だと思われますが、屋根塗装をして雨漏りが発生したという事案が多々あります。カラーベスト屋根は防水が元々低く屋根材同士の隙間から雨水を逃がす構造ですので、塗装ですきまを塞いでしまえば雨水の逃げ道が無く雨漏りが発生します。塗料メーカーが苦肉の策でスペーサーを推進しているようだが中途半端な隙間が毛細管現象をおこして雨漏りが発生する事も報告されています。そもそもカラーベストは1次防水であり2次防水のルーフィングの事を考えていないのでしょう。ルーフィングの寿命が15程でパサパサになります。釘穴を保護する機能も低下します。カラーベスト材一枚に対し釘を4か所打ちます。ですからカラーベスト屋根の裏側は穴だらけなのです。2次防水のルーフィングで雨漏りを防いでいるのですが寿命で機能低下を無視して屋根塗装を施すのはどうかと思います。塗装屋さんの中にもその様な構造を熟知して屋根塗装はしない塗装屋さんがいるそうです。(真のプロですね。脱帽です)

まとめ

お家の外観を時々目視で良いので確認してください。屋根など高所で見えずらい箇所は数年に一度お近く工事業者などに点検して頂きましょう。見ず知らずの業者にみせないようにしましょう。雨漏り修理を依頼するにあたり見積を2,3社から取り施工方法の違い金額の違いをみて決めましょう。同じ施工方法でも金額に差があればどちらかを疑い、また施工方法が違えば原因箇所の特定内容が違った場合は熟知した技術の持ち主か経験が浅いのかを把握した上で慎重に決断して下さい。  一度雨漏りした家は雨漏りが再発するかしないかは専門職種の職人次第です。