2021年08月

破風とは?

破風とは

破風(ハフ)とは屋根の軒先や妻側の部分で屋根周りです。破風の部位にも「鼻隠し」と「ケラバ」があります。「鼻隠し」は屋根の側面のうち雨樋を取り付ける面や軒先を指します。そして取り付けて無い面が「破風」です。 「ケラバ」とは外壁より外側に出ている部分を指します。そして、そこに取り付けてある板が破風板です。

一般住宅ではシンプルなデザインのものが主流ですが古来からの木造建築や神社・仏閣などでは彫刻を施した板などが付けられて装飾性をもたらし存在感を発揮しています。

破風はその名の通り、雨や風を打ち負かして家を守っているとても重要な部位です。外観上のデザインだけではありません。屋根は上から吹く風や雨にに対しては強いのですが横や下から吹く風や雨にに弱い特徴があります。そこで破風板を取り付けることで様々な弱点を克服します。

破風の役割

(1)屋根を強風で飛びにくくする事。

破風がないと台風など強風で屋根が飛びやすくなります。破風板を設置することで横や下からの風を遮断します。 

(2)雨水の侵入を防止する事

破風がないと屋根の側面が露出した状態になり、雨水が入り込みやすくなります。破風には屋根裏や軒天や外壁への雨水侵入を防ぐ役割があります。 

(3)屋根周りの補強 

破風板がないと軒先や妻側の広小舞板や垂木などの歪みや垂れが生じ積雪荷重や風荷重に耐えれなくなります。破風板を取り付けることで垂木などの強度不足を補います。軒先の破風板「鼻隠し」は雨樋を取り付ける受け板として使用しますので強固な耐荷重が求められます。 和風建築で軒の出多く出して破風板がない建物があります。垂木などの下地材等で強度を保っていますが、年月をかけ木材の乾燥などで反りや垂れが生じ軒先の通りが波を打ってしまい軒樋の水勾配が逆になったりして軒樋の中に雨水や泥ゴミが溜まる事例多く見られます。それと同時に積雪荷重が加わり軒樋の継手接合が破損したり受け金具が曲がり落ちる事あります。

(4)屋根を美しく見せる

 破風板は屋根を美しく見せる役割もあります。破風がないと屋根の側面の構造が丸見えとなってしまい美観が悪くなります。屋根と別色の破風板を選び屋根と外壁間のアクセントにもなります。個性的な方はオンリーワンの外観を演出してみてはいかがでしょう。

防火機能

破風の機能としての役割に少しつながりますが、「外部からの防火性」も挙げられるようです。隣家などの火災で火の粉や熱風などが直接屋根に来るのを遅らせる役割もあります。破風板と軒があることで屋根裏まで一気に炎が行かないようになります。屋根構造は建築基準法及び消防法により防火構造ではなく、耐火構造とされたいます。一般住宅住宅や軽量鉄骨構造などの建物は外壁材や内装壁のボードは防火性の材質が使用されていますが、屋根下地などの屋根裏は20分~30分耐火の材質が使用されています。【ごくまれにですが、図面に防火性野地板と描かれている設計士様がいますが、もう少し勉強してくださいませ。(笑)】 破風は少しでも炎の進行を送らせてくれる要素もあるようです。出来れば軒ゼロより少しでも破風を出した方が良いでしょう。

破風板の種類

破風板の種類には「木材」・「金属系」・「窯業系」があります。

木材

「木材」は破風板を防腐性防水性の塗料を塗ったもの。耐久性が低く数年ごとのメンテナンス塗り替えが必要です。(怠ると屋根の老朽化も進みます) 

金属系

「金属系」は破風板にGL鋼板を曲げ加工し破風板を包み込み板金納めをしたもの。耐紫外線や防水に優れてメンテナンス時期は10~15年位で金属屋根と併用の場合同時期になります。また屋根材と同材同色を使用すれば、屋根と破風の一体感を演出できます。 

窯業系

「窯業系」は外壁材と同じ素材で防火性に優れています。近年は化粧板(焼付塗装板)がメインですが無塗装板もあります。化粧破風板の繋ぎ目はコーキング処理になりますので、6~8年が目安だと思います。コーキングの劣化などでひび割れや隙間が出来、そこから雨水が浸みこみ下地材を腐らせてしまう。特に妻側(ケラバ側)の面は直射日光が当たり紫外線や急激な温度差でコーキングの劣化が激しいのでご注意下さい。

メンテナンスや不具合の対処法

「木材破風板」の場合は塗装剝がれのみであればケレンして綺麗にしてから再塗装を行うかGL鋼板で曲げ加工し覆い被せ板金納め施工をします。木材の割れ・反り曲がり・腐敗などが激しい場合は破風板の取り替え工事が必要です。「窯業系」の場合は劣化したコーキングを剝がして再度コーキング処理行ないます。コーキング周辺の軒天のシミやケラバ役物等が不具合がある場合は屋根裏や軒裏に雨水が侵入しているので破風板を取り外し下地補修工事が必要です。窯業系破風板は端部切り口やビス穴が水に濡れると弱く一度外すと再利用できない場合があります。 特に切妻屋根、片流れ屋根は台風などの前後に目視でも良いので確認をして少しでも変化が見られれば専門業者にご相談してください。