2023年11月

メンテナンスフリーの家とは❓

最近、各ハウスメーカーやリフォーム会社などから「メンテナンスフリーの家」と言ったキーワードが発信されています。メンテナンスが不要なマイホームならば購入後、又はリフォーム後の心配が無くなると思いませんか。ですが...「メンテナンスフリー」とは近年、我々日本人が都合よく使う和製英語の一つであると思われます。 まず大前提として覚えていただきたいのが「メンテナンスが永遠に不要な住居は存在しません。」ということです。それは、たとえ外壁や屋根そのものの資材の耐久性が高く塗装の必要もない素材であっても、資材を接着する接着剤や下地材などが老朽化すれば当然メンテナンスが必要になるからです。 メンテナンスフリーの家とは長期間メンテナンスの必要がない住居を指します。

長期間メンテナンスフリーとは

長期間が何年を意味するのかはハウスメーカーやリフォーム会社によって異なりますが10~30年程の耐用年数を持った外壁や屋根資材を耐用期間の長い資材とみなしメンテナンスフリーと呼んでいます。 その為ハウスメーカーではメンテナンスフリーの住居であっても定期点検に加えて5~10年に一度のメンテナンスが推進されるケースが一般的です。

押さえるべき4っのポイント

  1. 耐久性・耐火性・耐震性  耐久性の強い資材であれば交換の必要がなく長期間使用することができます。万が一火災や地震が住居を襲っても丈夫なように外壁や屋根の資材の耐火性・耐震性を確保することも重要なポイントの1っです。
  2. メンテナンスのしやすさ  建物の形状や立地環境も考慮すべきです。風当りや日当たりの強弱により外壁や屋根へのダメージは変わります。
  3. 費用  かかる費用も重要なチェックポイントです。メンテナンス費用のかかりやすい箇所の代表格である外壁は足場を組むだけで、多額の費用が発生するため出来るだけ大がかりなメンテナンスとならない外壁を採用することが理想的です。
  4. 資材の種類  軽量な資材を使用した方が地震の揺れに強い利点があります。また素材そのものの色が綺麗であれば色褪せの心配も少なく再塗装する手間も省けるでしょう。

デザインや防音性といった点も気になりますが、メンテナンスフリーの内容を検討する際は4っのポイントを押さえることが大切です。

メンテナンス頻度を抑えられる外壁資材

  • サイディング(窯業系・金属系) 外壁に用いる仕上げ材の板のことをサイディングと言います。ひと昔前はモルタル外壁に塗る事が主流でしたが現在では工期短縮や安定した品質のメリットからサイディングを利用した外壁が増えています。 サイディングと言っても窯業系(ようぎょうけい)・金属(ガルバリウム鋼板)・木質・樹脂と様々な材質があります。その中でも耐久性に優れているのが窯業系や金属系のサイディングと言われています。窯業系や金属系のサイディングであれば、色褪せやひび割れも起きにくく、長い間サイディング本体を交換しないで利用し続けれれます。もちろん永遠に劣化しないわけではないので定期点検が求められるほか、劣化や汚れの生じやすい目地(コーキング材)の部分補修が必要です。
  • タイル  耐久性の高い材質として評判の高いのがタイルです。サイディングと比べても高い耐久性があり風雨や強い日差しによる劣化の少ない材質です。タイル自体の劣化がほとんどない事から、メンテナンスする際には下地や目地の部分的な補修で済ませられるのも大きなメリット言えます。高級感のあるタイルは住居をオシャレに見せる効果があることから、外壁えおタイルにしようと考える施主様も少なくありません。この様に耐久性と高級感を兼ねたタイルですがネックとなるのが価格面です。サイディングの倍の初期費用がかかるケースもあるため費用面で外壁タイルを断念される方も多いです。

メンテナンス頻度を抑えられる屋根資材

  • 日本瓦  日本で古くから利用されている瓦は耐用年数の長い資材の1つです。セメントで作られた瓦の耐用年数は30~40年ほどですが、粘土が素材の伝統的な日本瓦の場合50~80年の耐用年数があると言われています。日本瓦は耐火性・防水性に優れているのに加え塗装する必要があまりないことも大きな強みです。 デメリットとしては瓦に重みがあるため地震が発生した際には揺れを感じやすい建物構造となってしまうことが挙げられます。
  • 銅板  銅板も日本瓦と同様に古くから日本の住居に使用されてきた耐久性のある屋根材です。耐久性があるだけでなく軽量であることから、耐震性を期待出来ます。和風の建築と組み合わせると建物の統一感がぐっと増すため和風テイストな住居を考えの方にとっては魅力的な屋根資材と言えるでしょう。 デメリットは防音性の低さがあります。雨音が大きく響きやすいため、気になる方にはストレスに感じます。近年では酸性雨との関係で資材の改良や素材である銅の時価も高騰もあり一般住宅ではあまり使用されていません。神社仏閣等の建造物に使用されています。
  • ガルバリウム鋼板  ガルバリウム鋼板はアルミニウム・亜鉛・シリコンを混ぜ合わせ作られた資材です。軽量で耐久性に優れていることから屋根資材だけでなく外壁資材にも使用されています。ひと昔前は屋根材と言えば瓦でしたが、最近ではガルバリウム鋼板の様な金属屋根を採用する住居が増えています。錆びにくくメンテナンス頻度を抑えられるガルバリウム鋼板ですが、厚みがないため他の資材と比べると断熱性や防音性が低い傾向にあります。そのためガルバリウム鋼板を屋根資材として使用するには断熱材を加えたり断熱効果を備えたガルバリウム鋼板を使用したりするケースが一般的です。 

まとめ

住居を購入またはリフォームした後にメンテナンスをしないでも良い建物など存在しません。メンテナンスフリーとはハウスメーカーが作ったキャッチコピーすぎません。(紛らわしい(笑)) 震災などの災害後は「高耐震性の家」をうたい文句でしたが、耐震基準が建築基準法で重視され高耐震性が標準化した近年で絞り出したキャッチコピーが「メンテナンスフリーの家」なのでしょう。形あるものはいずれ壊れます。まして過酷な自然環境に日々晒されている建造物にはダメージがあります。劣化は避けられませんのでいかに耐久性の高い資材を選択するかがポイントだと思います。 住居の形状も複雑な形などは避けシンプルで屋根や外壁に風雨の負担がかからない形状の建物を選択された方が屋根や外壁が長持ちし、メンテナンスが必要になった場合に費用を抑えられる傾向があります。

ガルバリウム鋼板のメンテナンスは❓

近年は金属屋根を選ばれる方も多くなっています。新築時、リフォーム時問わず増えてきています。その背景には素材の改良と進化だと思います。トタン板からガルバリウム鋼板へ進化をし、更に形状や色など改良により、時短施工・長寿が実現され、軽量で風雨や災害に強くコストパフォーマンスが高い製品が人気を集めています。

ガルバリウム鋼板(GL鋼板)とは

ガルバリウム鋼板は屋根材や外壁材として使用される金属板です。ガルバリウム鋼板は錆びや腐食などから鋼板の表面を保護する機能を持つ亜鉛と耐久性優れているアルミでメッキコーティングを施している鋼板です。一般住宅ではGL鋼板0,35㎜から0,4㎜厚が使用され、 倉庫などの大型構造物では0,6㎜から0,8㎜などの厚く硬い素材を使用します。

よく相談される疑問点

  • よく相談される事1  金属屋根や外壁は本当に雨漏りしないの?
  • よく相談される事2  屋根裏や室内は暑くならないの?
  • よく相談される事3  メンテナンス時期や方法は? 

よく相談される疑問点の返答(私見・経験から)

  • 金属屋根や外壁は本当に雨漏りしないの?  そもそも初期施工時に適正な施工を施せば雨漏りしません。どんな素材の屋根や外壁でも。下地のルーフィングがしっかり機能する敷き方をして、開口部廻りや役物部分を適正な雨仕舞施工をすれば雨漏りしません。しかし建物の周辺環境に応じた施工方法をしないと後々何らかのトラブルが起こるでしょう。山間部地域や河川敷付近の地域やグランド及び田畑付近の立地では枯れ葉や砂埃が雨漏りの原因になる場合があります。環境に応じた雨仕舞が必要です。これらの事を理解せず、通常施工する業者も少なくはありません。
  • 屋根裏や室内は暑くならないの?  新築時にGL鋼板材を直に施工すれば暑いです。しかし適正な通気層を設け断熱処理を施せば問題ありません。 リフォーム時にカバー工法を選択する場合屋根や外壁は2重層になるので何ら変わりはないと思います。予算に応じて断熱材入りの製品を選ぶのも良いでしょう。
  • メンテナンス時期や方法は?  基本的にガルバリウム鋼板の金属屋根や外壁は耐用年数が長くトタン板の場合は5~10年が目安ですが、ガルバリウム鋼板は10~20年とされています。これらの年数は材料の耐用年数であって雨漏りや不具合は別です。適正な施工を施せば20年以上は可能かと思います。役物部分の下地や木部の劣化のために釘浮きやビスの緩みが原因で不具合が発生場合があるので強風や台風などの前後日に目視確認して不安がある場合釘やビスの増し打ちや下地材の交換をされると良いでしょう。基本的には下からの目視で役物部分の異変を確認するだけで良いと思います。 災害後に飛散物等によりGL鋼板材が切れたり穴が開く事があります。その場合は早急に補修工事を行って下さい。雨漏りの原因と劣化を速めてしまいます。

絶対にやってほしくない事

  • 5~10年での塗装工事  ガルバリウム鋼板の屋根や外壁は耐用年数が長いとはいえ紫外線などの厳しい環境に晒されています。日当たり具合によっては色褪せが早く起きる事もありますが、製品の防水性には問題ありません。
  • 意味のないコーキング処置  雨漏りが発生しても原因箇所周辺をコーキング処理のみで済ませる業者がいます。それが適正な処置ならば問題ありませんが、余計に雨漏り被害を大きくする事があります。

この2点の共通している事、それは塗装工事です。もちろん一流の塗装職人さんでしたら分かり切っている事です。 しかし無知な営業をされている業者も多くいます。 「少し色褪せたから屋根を塗らないと長持ちしませんよ。」や「屋根を塗れば雨漏りは収まります。」などと言い屋根塗装工事を迫ったりする業者が存在します。 特に雨仕舞箇所や板金役物部分の余計なコーキング処理や塗料などで塞いでしまうと雨漏り被害が拡大したり、新たな発生原因に繋がります。雨仕舞はコーキングに頼らざるとも回り込んだ雨水を排出するように施工をします。なのでむやみにコーキングや塗料で塞ぐのはお勧め出来ません。 多少の色褪せは仕方がない事で避けられないのは事実です。 ですが、色褪せが生じたからといって鋼板が錆びるとか劣化が速まることはありません。 ガルバリウム鋼板の屋根を色褪せで塗装をした場合、ケレン作業の工程で鋼板の表面をキズ付けてしまい余計に劣化を速めます。また錆止めを塗り2度塗りしたからといっても塗装は長持ちしません。熟知した塗装職人さんならば分かってますが、「防水性に優れて長持ちする」をうたい文句を言っているのは塗料メーカーと営業だけです。  業者によっては塗装工事前の契約書に長期間保証や雨漏りに関する保証をはっきり提示していない場合や、うやむやにし逃げる可能性がある業者も存在します。

塗装工事を批判している訳ではありません。悪質とも思える営業スタイルの業者がいるのです注意してください。