2021年09月

屋根の部位と名称

突然リフォーム工事業者の飛び込み営業が来た時やご自分で業者へ依頼した時に工事業者から(例)「妻側の垂木が腐っています。そこは下葺き材と野地板を剝がして補強します。」と言われても…❓素人にはさっぱり分かりません。建設業に携わっていない方には馴染みのない用語ばかりです。残念ながら工事内容を素人さんに分かりやすく表現できる業者や職人がいるのも事実です。その場で簡単な図を描いて分かりやすく説明してくれる業者さんもいますが少ないでしょう。屋根工事に関する用語を少しでも覚えておくと打ち合わせがにスムーズになり又、本当にその工事が必要なのか理解できます。

木造住宅の屋根構造について

小屋組み(こやぐみ) 

屋根の構造のことを小屋組みといいます。屋根の中を小屋裏と言い、一般的には屋根裏や天井裏と言われています。小屋裏の中には小屋束(こやつか)が立てられ、その上には母屋(もや)と呼ばれる木材が水平に取り付けられていなす。一番外側の母屋を軒桁(のきげた)と言い一番てっぺんの母屋を棟木(むなぎ)といいます。 新築工事で上棟式はこの棟木を取り付ける儀礼のことです。

屋根の下地

母屋の上には垂木(たるき)と呼ばれる木の棒を取り付けます。垂木のうえに野地板(のじいた)と呼ばれる板を張り、その上には下葺き材(したぶきざい)と呼ばれる防水シートを張ります。 一般的に屋根の下地と言えば「垂木」「野地板」「下葺き材」の3つを表します。

屋根の仕上げ

下葺き材の上に屋根の仕上げ材を張ります。陶器瓦や金属屋根、コロニアルなど屋根本体のことです。

屋根の構造に関する用語

葺く(ふく) 

屋根材を張って仕上げる行為のことです。

雨仕舞(あまじまい) 

雨水が屋内に侵入しない処置のことです。屋根や外壁で雨水を防ぐ部位には水切り板金が取り付けられます。屋根では棟板金・谷板金・軒先板金・雨押え板金などがあります。各種板金が正しく取り付けておらず、雨水が侵入する時に専門家は「雨仕舞が悪い」と表現します。

勾配(こうばい) 

屋根の傾斜のことです。屋根の傾斜が緩い勾配を緩勾配(かんこうばい)傾斜が急な勾配を急勾配(きゅうこうばい)といいます。 勾配は1~10寸単位で表し、10寸勾配は直角になります。一般的な住宅では3~5寸勾配が採用されています。 屋根の構造上、急こう配であればあるほど水はけが良くなるため防水性能が向上しますが、その分屋根の面積が増えます。 台風などの強風で屋根本体への影響を受けやすくなります。 6寸勾配以上は外壁だけでなく屋根足場がないと工事が出来ませんので必要となります。

妻(つま)

切妻屋根で、雨樋が取り付けられていない面を妻側(つまがわ)と呼びます。妻はケラバとも言います。 一方、雨樋が取り付けられている面を平側(ひらがわ)と呼びます。平側のことを軒側(のきがわ)とも呼びます。切妻屋根の場合、妻側の屋根先には破風板、軒側の屋根先には鼻隠しと呼ばれる板を取り付けます。破風板は雨樋がない分、雨や紫外線の影響を受けやすく、鼻隠しより傷みやすいです。 

切妻(きりづま)と寄棟(よせむね) 

いずれも屋根の形のことです。屋根が2面で出来た「への字型の屋根」を切妻と呼びます。屋根が4面で出来た屋根を寄棟と呼びます。 屋根面が1面で出来た屋根を片流れと呼びます。屋根面と屋根面がⅬ字やT字になって、異なる方向から接合する屋根を複合屋根と呼びます。

軒先(のきさき)

屋根先端部分のことです。外壁から軒先までの長さを軒の出(のきので)と呼びます。金属屋根やコロニアルの軒先には軒先(のきさきばんきん)と呼ばれる板金を取り付けます。軒先板金は軒先役物(のきさきやくもの)、軒先水切り(のきさきみずきり)、軒先唐草(のきさきからくさ)などとも呼ばれています。軒先の下地には広小舞(ひろこまい)と呼ばれる木下地が使われます。軒先の裏面には屋根の構造材の垂木や野地板を隠す為に軒天(のきてん)と呼ばれる白いボードが張られます。

棟(むね) 

屋根のてっぺんのことです。瓦屋根では瓦が用いられますが、金属屋根やコロニアルでは棟板金(むねばんきん)と呼ばれる金属制の板金が使用されます。現在、板金の素材はガルバリウム鋼板が用いられています。主棟、大棟とも呼ばれます。 また、棟には小屋裏の自然換気を目的にした換気棟と呼ばれる通気構造の棟板金を取り付ける事が多いです。主棟から軒先に向かって降りてきている棟を隅棟と呼びます。 棟板金は風の影響を受けやすい為、よく飛ばされたりします。原因は棟下地材の貫板(ぬきいた)と呼ばれる木材の腐食です。木製の貫板は経年と共に腐食する為、最近では腐りにくい素材を用いることが多いです。

谷(たに) 

屋根面と屋根面のつなぎ部分のうち、隅棟の逆で文字通り谷になっている部分です。水が流れる排水機能を持つがゆえに屋根で最も雨漏りしやすい部位です。

雨押え(あまおさえ)

屋根と壁の取り合い、つなぎ部分。ここも雨漏りしやすい部位です。

庇(ひさし) 

小庇や霧除けとも呼ばれています。出窓などの開口部や勝手口などから雨水を防ぐために壁に取り付ける小さな屋根のことです。玄関先の庇は玄関ポーチと呼ぶことが多いです。

まとめ

これらの用語や構造を少しでも知って頂ければリフォーム業者との打ち合で業者や職人さんの言っている意味が分かります。また、屋根に関する知識がお客様にあると業者は襟を正し接客をする業者もいます。(怪しい業者かもしれません。)