カバー工法とは?

カバー工法とは

カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる施工方法のことです。。既存の屋根材が2004年以前に製造された「スレート屋根(カラーベスト、コロニアル)」の場合は、人体に影響を及ぼす「アスベスト(石綿)」含有している可能性があり、屋根材の処分費が高額になってしまうこともあります。 一方、解体作業を必要としない「カバー工法」は短期間に低コストでリフォーム出来ることから人気を集めています。 カバー工法は基本的に「スレート」や「軽量金属屋根」などのような平板の屋根材の上からであれば施工可能です。「スレート屋根」の上から「ガルバリウム鋼板屋根」を重ねることが多く見られます。

カバー工法が出来ない屋根は?

全ての屋根にカバー工法が出来訳ではありません。経年劣化がひどく、屋根下地が傷んでいる屋根は行えません。

瓦屋根 

カバー工法の条件の一つに、屋根面がフラットな状態であることがあがられます。瓦屋根のように波立っている屋根にはカバー工法は行えません。そもそも瓦屋根は重いので、荷重を追加するカバー工法はてきしません。

古いトタン屋根 

金属屋根にカバー工法を行う事は可能です。しかし、古いトタン屋根は屋根下地(野地板)が傷んでいる事が多く、カバー工法を行いたくても、出来ない場合がほとんどです。

劣化が進んだコロニアル屋根 

たとえコロニアル屋根であってもカバー工法が出来ない場合があります。理由は先ほどの金属屋根と同じです。たとえば築40年過ぎている場合はできません。また、雨漏りが生じている(数年間)屋根も屋根下地が傷んでいる事が多く、カバー工法は避けた方が良いでしょう。

瓦屋根のように新設する屋根材を屋根下地に固定できない屋根や築年数が進んでいる屋根は耐久性や強度が保てないので葺き替え工事を推進します。

カバー工法による屋根の耐久性は?

適切な工法でカバー工法を行えば、30年以上の耐久性が期待出来ます。 すでにカバー工法が普及して30年近く経過します。現在のところ何も問題なく、屋根がしっかり機能している住宅はたくさんあります。

(工事を行うのは板金工事業者です。現状調査時に職人さんとの意見交換をし、見積書や施工手順の説明を受け納得した上で着工してください。地上からの目測での見積は危険です。屋根に上がってみないと実際の状況は分かりません。工事業者は予算内で完工させる事が多く、施工中に屋根下地などの不具合がある場合、見積項目以外は追加工事となります。追加が見込めない低予算では、プロ意識のない未熟な業者は現状のまま施工を続行し数年後に不具合が発生した案件がありました。)

カバー工法の工事時期は?

築後10年未満 

カバー工法を検討するのは少し早い感じがします。 しかし、風の影響が強い地域や、風に弱い屋根材で施工されている場合は築数年でも屋根材が剥がれる事もあります。高台や建物の周りに風を遮るものがない地域は要注意です。屋根の不具合が現れている場合は、耐風性に優れた屋根材と方法でカバー工法を検討すると良いでしょう。

築後10年~19年 

 10年~20年のスレートはカバー工法を実施するのにもっともオススメするタイミングです。2000年代初頭に流通したスレートは従来のスレートと違ってアスベストが含まれておりません。この頃に発売されたスレートはアスベストを含むスレートに比べて頑丈さに劣ります。ひび割れや剥がれなどの被害が比較的多く発生ます。放置しておく訳にはいかない状態になっている事が多いです。剝がれが発生している状態での塗装工事は避けた方が良いでしょう。

築後20年~39年 

築20年以上経過したスレートは屋根カバー工法の適正時期です。ただし30年を超える頃には屋根の劣化状況が進んでいるはずです。野地板増し張りカバー工法や葺き替えを選択せざるを得ない場合があります。なおこの時期に製造されたスレートはアスベストが含まれています。アスベストが含まれているスレートを葺き替える工事は高額です。 葺き替えを避けたい方は、屋根の劣化が進む前にご検討して下さい。

築後40年以上 

築40年以上経過したスレートにカバー工法はおこないません。40年以上経過した屋根は、かなり高い確率で屋根下の劣化が進んでいます。 また、旧耐震基準で建築されていることが多く、屋根荷重が増える影響にも不安が残ります。

カバー工法のメリット

断熱性・遮音性・防水性が向上する 

既存の屋根と新しい屋根の二重構造になるので、断熱性、遮音性、防水性がアップします。特にガルバリウム屋根で雨音が気になる方にはオススメです。

リフォーム費用が安い 

既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事なので、既存の屋根材を撤去する人件費や廃材処分費がかかりません。

騒音やホコリのトラブルが少ない 

葺き替え工事では、既存屋根撤去する際に騒音やホコリに悩まされる事が多く、ご近所トラブルになってしまうケースもあります。カバー工法では工事中の騒々しい音やチリが発生するリスクが少なくなります。

アスベスト対策 

2004年以前のスレート屋根の材料は、がんの原因になりやすいアスベスト(石綿)が使用されていました。現在では製造、販売、使用が中止されていますが、まだ屋根にアスベスト材が含まれている建物も残っています。しかし、葺き替え工事を行うとなると、アスベストの処分費が高額になり、また解体時に近隣に飛散しないよう対策しなくてはなりません。カバー工法なら屋根を壊す事なくリフォーム出来る為、このようなリスクが少ないと言えます。

カバー工法のデメリット

耐震性に影響する可能性がある 

カバー工法は屋根全体の重量が増すため、耐震性が少々低下します。 そうとは言え、戸建て住宅に多いスレート屋根に、軽量金属屋根材でカバー工法を行った時の総重量は、約23~26㎏/㎡程度です。瓦屋根(約60㎏/㎡)と比べても、カバー工法でリフォームした屋根の方が軽いと言えます。

後の解体工事 

カバー工法後、建物の建て替え工事や増改築工事などの為、カバー工法済み屋根を解体するにあたり、解体費用が高くなります。屋根解体の人件費と屋根材処分費が2倍になるからです。

よくある質問 

火災保険の適用 

強風や雪などの自然災害で破損してしまったり、雨漏りしている場合に、火災保険を活用して屋根を修繕したい方もいらっしゃると思います。 カバー工法では申請できない可能性が高いでしょう。 火災保険の対象となるのは、原則として「自然災害の被害に遭わなかった場合の状態に戻す」為の工事です。屋根材が数枚飛ばされたり、破損した場合は、その箇所の修繕費が認められますが、屋根全体の改修費用が認められる訳ではありません。

屋根塗装工事後の雨漏り 

屋根塗装後雨漏りが発生した原因は塗料やシーリングによる雨水の抜け口が塞がってしまった事が原因だと思います。広範囲の雨漏りは屋根下地などの腐食の原因になりますので早急に屋根下地や1次防水(ルーフイング)工事から葺き替え工事を行った方が良いでしょう。

カバー工法の上にカバー工法 

カバー工法後の耐用年数は{20~25年」です。一度カバー工法を行った屋根を3重以上にする事例はあまりない為、今後、永くお住みになる建物の場合は、「20~25年以上経過した屋根を撤去、葺き替えをしなければならない」という点も考慮しておいた方が良いでしょう。不具合がない場合は再リフォームの心配もありません。(カバー工法3重では屋根荷重が耐震性や建物の総重量の危険性も大きくなります。

カバー工法より葺き替えをした方がいい場合 

日本瓦のように重さや波がある屋根で新しい屋根材を固定するのが難しい場合。(金属屋根、折板屋根は専用の固定金具がありますので、カバー工法が可能です。) 腐食などで下地が劣化している場合や、雨漏りが発生している場合。 長期にわたる耐久性を求める場合。

屋根リフォームは長期耐用年数ですので、将来ご自宅を引き継がれる方へのご負担も考慮してご家族でお話し合っておきめください。