屋根や外壁の各部位の不具合や雨漏りの原因

雨漏りの原因は雨漏り発生部分によってそれぞれ特徴や前兆があります。外装を見渡し観察して変形や変色の違和感を感じたらご注意してください。どんな建材や部材でも耐候年数や寿命があります。またご自宅の立地条件や自然環境によって経年劣化の進行は様々です。各部位の役割や特徴、不具合の原因などをご紹介します。

屋根の部位・役割

  • 棟(むね) 棟には場所によって名称があります。 大棟(おおむね)とは 屋根の頂上、一番高いところにあり屋根の面と面が交差する部分。屋根のほぼ中心にある水平な部分で雨水の侵入を防ぐ役割がある。棟板金や棟瓦などが取り付けられています。 隅棟(すみむね)・下り棟(くだりむね)とは寄棟屋根や入母屋屋根などで四方の面に配置されている棟のことです。屋根面の隅(入隅)部分にある事や屋根の高い部分から見ると下っているので、隅棟や下り棟と呼ばれています。 棟の不具合や雨漏りの前兆に棟の歪みや浮遊が見受けられます。高くて目視しずらいと思いますが。棟の高さが一定でなかったり、通りが曲がっている場合には注意です。棟板金の場合、下地材が貫板で施工されている事が多く、貫板の劣化や腐敗で固定ビスや釘の強度低下の為棟が浮き上がったりねじれたりします。強度不足の棟が強風で飛ばされる事案が多いです。
  • 破風(はふ)切妻屋根の妻側、三角形になっている部分のことです。ここに取り付けられている板を破風板と呼びます。 破風板は無石綿の石膏製や塩ビ製などの既製品がメインですが、破風板を塗装仕上げの場合もあります。また最近ではGL鋼板曲げ加工で破風板を覆い被せる工法も多くなりました。 石膏製などの既製品は定尺ので長さが決まっているので、破風板と破風板の繋ぎ部分はコーキング目地納めとなります。一方、GL鋼板曲げ加工のような板金納めは鋼板どうしを重ねる工法なので雨水の侵入リスクが低いとされています。 破風は軒天や外壁への雨水侵入を防ぐ役割があり重要部位です。 近年人気の軒の出が浅い住宅や軒ゼロ住宅は屋根と外壁の境目から雨水の侵入が多く報告されております。台風のような強風と豪雨のときは、雨水が横からや下から外壁に当たるため屋根と外壁の雨仕舞と適正な破風板の納めが必要とされます。
  • 鼻隠し(はなかくし) 破風板の延長で軒先に取り付けられた水平の部材のことです。雨樋が取り付けられている部分です。部材は破風板と同様のものになります。 軒先は屋根の雨水が流れ落ちてくる場所です。雨樋が雨水を受け流す役割があり、雨樋は落とし口に向かって水勾配がついていますが、大雪でのダメージによって垂れ下がってしまいます。雨樋か機能せず雨樋内の雨水が鼻隠し側に溢れでると鼻隠し内部の垂木や軒天が腐敗します。垂木が腐敗し強度低下を起こせば屋根の軒先部分が垂れ下がってしまい、外壁内部への雨水侵入の原因となります。
  • ケラバ 切妻屋根などで雨樋が付いていない部分で屋根の端部。建材や部材の名前ではなく、場所を示す言葉で妻側の端部分。(破風板の上に乗っている部分) ケラバ部分にはケラバ水切りや唐草などの板金部材やケラバ瓦など妻側の野地板や破風板を守る部材が使われています。ケラバ部分に不具合が起きると野地板や垂木と破風板が腐敗し雨漏りの原因となります。また強風による屋根の破損が多い部位です。
  • ドーマー{鳩小屋(はとごや)} 屋根の上(屋根の途中)に設置している窓のことです。家内及び屋根裏への最高や通気を目的に設置されている。屋根の勾配と同じ角度で取り付けられている天窓とは違い窓は垂直に取り付けられているので屋根から突き出している。天窓は太陽光が直接部屋入ってくるが、ドーマーの場合は太陽光が間接的に入って来る感じです。 ドーマーや天窓などの屋根上の突起物廻りは雨漏り要注意ヵ所です。 1次防水のルーフィングの立上げ部分や機密防水テープなどの下処理と確実な雨仕舞が要求される部分です。雨水の通路を確保しホコリなどのゴミが溜まらないよう施工されていないと雨漏りの原因となります。ここでの雨漏りは直接、室内に侵入してきます。

これらの部位が屋根の雨漏り発生が多く見られる部分です。適正な雨仕舞を施工しても経年劣化による不具合は必ず起きます。定期的なメンテナンスを行えば屋根を長持ちさせることができます。  最終的に室内への雨水侵入を防ぐのは1次防水のルーフィングになります。ルーフィングの敷き方や適正な重ねや立ち上げが重要です。ルーフィングの寿命は20年~25年と言われています。築15年位より前に雨漏りが確認された場合は雨仕舞の修理や清掃またはコーキング処理で治まる事が多いですが、築20年以上経過後の雨漏りはルーフィングの寿命を視野に入れて屋根の葺き替え工事もしくはカバー工法を検討した方が良いでしょう。

外壁の雨漏り発生部位

  • 雨戸(あまど) 大きな窓の開口部の外側に設けられた戸のことで、引き戸・シャッター・折り戸と様々なタイプがあります。近年は一切設置されていない住宅や小さめの窓のみ設置されている住宅もあります。 強い風雨対策や防犯の為に設置されています。 雨戸やシャッターなどはサッシに干渉している事が多く外壁との取り合い部分からの雨水の侵入が発生します。下処理の透湿シートや機密防水テープを施工しコーキング目地やモルタルのひび割れが無ければ問題ありません。万が一雨漏りが発生した場合、柱や土台が腐敗しますので早急に対象した方が良いでしょう。
  • 戸袋(とぶくろ) 引き戸の雨戸を開けた時に収納する箱状のもの。戸袋がなくレールの上にそのまま雨戸を収納する仕組みのものもあります。最近ではシャッターが設置されている住宅が多く、戸袋の需要は減っています。 戸袋も雨戸と同様の雨漏りが発生しています。雨漏りとは別に戸袋の中に鳥が巣を造る事案多く発生します。回避するには毎日の開け閉めが必要だと思います。
  • 庇(ひさし)・霧除け(きりよけ)玄関や窓などの開口部の上に設けられいる小さな庇のことです。霧や雨の室内への侵入を防ぐ役割があります。近年では設置されていない住宅も多く玄関や勝手口のみ後片付けのアルミ製庇がメインとなっています。窓の解放時に急な雨に初期対応してくれます。 庇や霧除けも外壁との取り合い部分から雨水が浸みこむ事があります。 後片付けの庇はボルトや固定ビスの隙間から雨水が浸みこむ可能性がありますので適正トルクで締め付け固定されているか又強く締付て外壁が変形やひび割れが生じていないか確認が必要でしょう。
  • 笠木(かさぎ) 塀や腰壁、パラペットの頂へ被せる建材。GL鋼板曲げ加工で被せる施工やアルミ製の製品が多いです。ベランダやバルコニーはアルミ製で手摺付きのものもがメインだと思います。アルミ製は笠木と笠木の繋ぎ目の部分は雨水侵入しやすいので注意です。又は笠木の下がり部分と外壁の隙間からの雨水の侵入があります。下から吹上た雨水が原因です。GL鋼板曲げ加工の場合は現状寸法に合わせて十分な下がりやクリアランス考慮して加工取り付けし、繋ぎ目も笠木どうしを重ねる工法なので雨水が浸みこむリスクが軽減さてます。