屋根・外装工事業、リフォーム工事業者として悲しい事案が多くなっております。十年ほど前は、シロアリ駆除業者による床下換気の押し売りの様な事案が問題になっていましたが、最近は屋根のリフォームに関する強引な営業が多くなっております。原因としては、屋根や外壁、雨樋は自然災害において火災保険が適応されるからだと思います。屋根の修理やリフォーム費用は高額な為なかなか決断しずらい部分です。そこを逆手に取り、「火災保険を使えば工事費用を保険でまかなえる。」と言葉巧みに近づいてくるのです。 この様な業者は地元の業者ではなく、隣県の業者が訪問営業をかけてくるのです。
私が直面した実体験を語らせて下さい。
知人から相談事があると連絡がありました。場所は知人の実家でした。その物件は十年程前に私が棟板金の取り替え工事をした現場で、現在は築25年程?スレート屋根の塗装工事を数年前にしたようです。 知人のお母様から語られた内容は、・突然の訪問営業 『屋根の無料点検でこの地域を回っています。良かったらお宅も無料点検しませんかあ?」と言われ、本当に無料なのか確認し断ったが営業マンは名称を置いて帰って行った。 3日後、また同じ営業マンが作業員と来訪。「無料点検に伺いました。」と庭先に入って来た。仕方がないので本当に無料か?再度確認して了承した。屋根に梯子を掛けて腰袋を着用して屋根に登た。心配で道路から屋根上を見ようとしたが見えなくなった時、営業マンが工事プランなどを提案し始めた。15分~20分程で作業員が降りて来た。「棟板金が浮き上がり外れそう。屋根材も数枚ひび割れがありズレている」と言いスマホで撮った画像を見せて来た。 後日改めて見積書を持って来ると言い帰って行ったらしいです。 見積書を持って来る前に、本当に不具合があるのか確認して欲しいと依頼を受けましたので急遽屋根上に登りました。屋根の裏側(道路がら見えない場所)がやられてました。棟板金は明らかにバールで釘を抜いたキズ跡があります。スクリュー釘なので簡単には抜けるはずがないのに、無理矢理抜いた感じがしました。バールを貫板の下に差し込み持ち上げた跡も確認。屋根材も不自然な割れ方でした。 動画で撮影し(故意的に破損している事を解説しながら)知人に見せました。 社名を聞いたところ聞いた事が無い会社なので名刺を見せた頂いたら隣県の業者でした。地元だったら、この様な荒っぽい営業かけれませんよ。私は修繕工事のみしました。後日、見積書提出に来た時に知人も同席して話し合いをしたが逃げられたとのことです。
屋根修理・リフォームの詐欺業者の手口
- 急な訪問営業で屋根の劣化を指摘してくる。 「屋根がズレています。 棟板金が飛んでしまいますよ。」と不安をあおって屋根に登って点検しようとしてきます。登らせると「早く修理した方がいい。 雨漏りしてしまう。」など更に大袈裟に煽ってくる。
- 火災保険で工事無料を押してくる。 火災保険は台風や強風などの天災で被害に遭った部分の修理工事を保険会社負担してもらえる保険なのです。ただし、申請がおりるには風災補償が付いている場合のみで審査基準や金額も保険会社によって違います。必ず工事金額が全額負担される訳ではありません。
- キャンペーンと言って高額値引きしてくる。 キャンペーンやモニターと言って近づいてくる営業にも注意された方が良いでしょう。リフォーム費用は高額な為少しでも予算を抑えたいのは当然のことですが、そこに漬け込み大幅な値引きを提示してくる営業もいます。 あらかじめ高価な見積金額を提示し極端な値引き金額を提示されたり、最初から安価で提示し、いざ工事が始まると追加工事が発生したと言われたり、予算内で仕上げた為にお粗末な仕上がりだったりします。 赤字覚悟でボランティア活動をする業者はいません、高所作業は死と隣り合わせの作業です、本来ならば屋根に登るだけでも高額な賃金が発生します。3割引き以上の値引きが提示されたら、見積内容を確認ましょう。また近所や同市内の業者に相談してみてください。メーカーを装って定期点検・無料点検にくる。
- ハウスメーカーを装って定期点検に来るケースもあります。 基本的にハウスメーカーは自社物件以外の建物は点検やメンテナンスに回りません。依頼があった場合のみです。メーカーの訪問営業が来た場合は社員証を確認させていただきましょう。メーカーの協力業者と言ってくる営業もありますが、メーカーは営業を外注だす事はないでしょう。
詐欺に遭わないためには
- 一人で決断しない 急に業者きて「雨漏りがする」「家が倒壊する」など大袈裟に不安を煽る営業には警戒し家族や近所の人に相談する事を告げその日は帰ってもらいましょう。万が一詐欺業者だったら家族や他人に相談されることをおそれます。
- 別の業者にも診断して貰う 病気になった場合に主治医以外の医者に診てもらうセカンドオピニオンという方法をとる方も多いかと思います。この場合も同様に他社の意見も聞いてみることをお勧めします。
- 点検時の写真を貰う 屋根上は普段見えない所なので、いくらでも嘘を言えます。登った時の写真で確認させてもらえるようにしましょう。屋根の全体写真と不具合を指摘箇所の写真をもらいましょう。 最近ではドローンのよる現地調査を実施している業者もいます。リアルタイムで屋根の現状が見る事が出来るので便利です。
- 屋根に登らせない 事前に打ち合わせ予定日を設定してから屋根に上げましょう。事前打ち合わせ時に少しでも不安を感じたり不審に思うことがあったら一度保留にし家族やご近所さん、又は別の業者に相談してからにしましょう。 登らせても大丈夫だと判断した後は自己責任になりますので慎重に決断して下さい。 屋根に登る人(職人? 営業マンは高所作業に慣れていないので登らないと思います。)の持ち物に注意して下さい。屋根の点検や写真撮影だけなので色んな道具などは必要ありません。腰袋を付け多くの道具を持って登らせるのは危険です。屋根上は見えない所なので何をされているか分かりません。 大袈裟な写真を撮る為に無理に釘を抜いたり、屋根材や各部材をずらしたりされる恐れがあります。写真をみれば釘を抜く時にできたキズ跡が残ります、キズ跡が新しい場合は、すぐに他の業者に再度確認してもらいましょう。 家主の了承を得ず釘を抜いたり屋根材などをずらしたりする行為は器物破損です。犯罪なのです。 なので簡単に屋根に登らせるのは慎重に決断して下さい。
- 契約内容は書面で残す 契約時における施工内容や施工範囲や使用資材などを書面で残すことで契約内容との違いや請求金額の違いが発生するリスクを回避する事が出来ます。「そんな契約はしていない・そんな工程は契約に入っていない」などのトラブルが多いのも訪問業者にありがちです。 施工時の状況写真も最終提出してもらいましょう。(手抜き工事防止のため)
- 工事代金は完工後に支払う 工事代金は完全に終わってから払いましょう。工事前に半金、完工後半金は信用できる業者でもあると思いますが。工事前に全額を支払うのはとても危険な業者です。
最善の策は知らない業者を家に入れない事。テンプレ通りの営業トークに惑わされない事です。地元の個人事業主など地域密着型の業者、または知り合いの職人さんなどに相談出来れば、安く・親切・丁寧に仕上げて貰えるでしょう。 契約書などの書類関係は無いかも知れませんが不要な人件費や諸経費が削減出来るので安く済みます。地元の個人事業主や職人さんはプライドを持って仕事をしている方が多く地域貢献意識も高いため信用できる業者が必ず近くにいると思います。 飛び込み営業より地元の業者を選ぶべし。