折板屋根とは?折板屋根カバー工法の注意点

今回は折板屋根のカバー工法をご紹介します。一般住宅ではあまり使用される物件はありませんが、倉庫や工場などの大きな建物で使用される事が多く、近年ではスレート小波材は屋根での使用を禁止となった為、大型の建物は、折板屋根がメインとなっています。 身近な所では自宅の駐車場の屋根や駐輪場の屋根などで使用されている方も多いかと思います。 昔はアパートなどの大型共同住宅(鉄骨構造)でも使用されていました。木造建築でも使用されている建物はありますが、やはり人気が無いようです。比較的には安価で高耐久ですが断熱性とビジュアル的に一般住宅には向かないのでしょうか。

折板屋根のイメージ

  • 折板屋根の形状は長尺で山の様な形状で一般住宅にはゴツイ見た目でビジュアル的に外観と合わないイメージ。 
  • 夏は暑くて冬は寒い
  • 雨音がうるさい

この3イメージは間違えなく、私もそう思います。あまり良いイメージはないでしょう。折板屋根は大型構造物用の屋根材と思って頂ければ良いでしょう。

折板屋根の特徴

折板屋根は金属屋根です。素材は・亜鉛メッキ鋼板・ガルバリウム鋼板・ステンレス鋼板・塩ビ鋼板が挙げられます。折板屋根は長尺で屋根の流れ距離に合わせて成型出来るので大型建造物では成型機を現場に搬入してその場で成型してクレーンで屋根に上げます。折板屋根は立葺きで1枚1枚葺いて行きますので緩勾配での施工が可能な事から大型建造物に最適とされています。  昔は倉庫や工場などは波型スレート屋根が多く見られましたが現在は折板屋根がメインとなっています。

折板屋根種類と施工方法

  • 重ねタイプ  タイトフレーム上のボルトに2枚の屋根材重ねてナットで固定します。 固定力が強く強風に強い特徴があります。 10年に一度はナット締付点検をお勧めします。ナットと止水パッキンが劣化などで緩むと雨漏りの原因となります。
  • ハゼ締タイプ  梁の上に固定したタイトフレームに固定金具を付け屋根材の端と端をはめ込んで折り曲げ固定します。ボルトで穴を開ける必要がない為防水性が高く低コストです。丸ハゼと角ハゼの2種類があります。
  • 勘合(かんごう)タイプ  吊り子金具で2枚に屋根材をタイトフレームに固定し吊り子金具上にキャップを被せてはめ込みます。表面のボルトが隠れる為見た目が美しく仕上がるのが特徴です。  

折板屋根による改修工事

大型建造物でも一般住宅と同じように改修工事が必要な場合もあります。折板屋根が高寿命とは言えいつかは大規模な改修工事必要となります。古い屋根を剝がして屋根を葺き替える工事は多額の費用と工事中の施設利用が制限されてしまいます。そこで費用の軽減と施設利用可能なカバー工法が採用される事になりました。折板屋根によるカバー工法は折板屋根はもちろんのことですが波板スレート屋根にも採用されています。 商業施設や事務所などでは折板屋根から天井や配線器具などが吊り金具で吊っている施設もあり、その屋根を剝がして葺き替えるとすれば天井や電気配線器具など内装工事も行わなければなりません。

折板屋根によるカバー工法のデメリット

  • 屋根が重くなる  屋根が重くなり耐震性が悪くなります。折板屋根の厚みは住宅用の2倍近い厚みです。1㎡当たり15~20㎏程度屋根が重くなります。それでも瓦屋根の半分以下の重さであり軽量屋根であるが認められています。建物の耐震性に不安がある場合はカバー工法は避けた方が良いでしょう。
  • 夏は暑くてなりやすい  折板屋根のカバー工法は基本的に断熱材は入れず施工します。そのため屋根を被せると暑さが改善しないで逆に増す事があります。その場合ルーファンを付け屋根にこもった熱を輩出させる事をお勧めします。
  • 膨張で音鳴りがする  折板屋根は金属なので熱を吸収する事で膨張し屋根材が冷えると収縮します。この時屋根材と固定金具が軋む音がなります。屋根材の裏に断熱材を裏張り処理などで音の発生はある程度抑えられますが、基本的に避けられない現象です。
  • 結露が生じる  古い屋根との間に結露が発生しやすくなります。この結露を雨漏りと勘違いされてしまう事が少なくありません。結露も音鳴りや暑さと同様に断熱材を敷くことで解消されますが断熱工法はとても高額です。

どんな屋根に折板屋根カバー工法をするのか

折板屋根の上に折板屋根をカバー工法する。  古い折板屋根の上に折板屋根を被せる工事です。雨漏りが改善されない場合こカバー工法です。この時既存屋根の同じ形状の折板屋根を被せる事になります。 重ねタイプが多いです。(ナットや止水パッキンの劣化や重ね箇所からの雨漏りが生じやすいため)

新築時にカバー工法をする場合もあります。これはダブルパック工法と言い、1層目の折板屋根の上にグラスウール断熱材を敷きその上に仕上げ材の同形状の折板屋根を被せる工法です。この工法の目的は折板屋根のデメリットを最初から解消するための工法です。断熱性・遮熱性・遮音性が向上します。この工法場合、重量を考慮した構造が求められます。将来的な改修工事は葺き替え工事となります。いくら折板屋根のカバー工法でも3層は出来ません。

波型スレート屋根の上に折板屋根をカバー工法する。  古くなったスレート屋根の上に折板屋根を被せる工事です。 古くなったスレート屋根は強度が弱く、またアスベストを含んだスレート材の飛散防止の目的も兼ねています。 基本的にスレート屋根はフック止め主です。スレート屋根のズレやフック緩みが原因で雨漏りがしやすいため、長尺に折板屋根を被せる事により雨漏りが防止や屋根強度の増加が見込めます。

瓦棒屋根の上に折板屋根をカバー工法する。  瓦棒屋根の上に折板屋根を被せる工事です。この場合の折板屋根と言っても既存屋根の形状に近い折板屋根を被せます。既存重ね部分の高さが少し高くなり、タイトフレームに固定します。

折板屋根カバー工法の注意点

  • 既存の屋根構造や建物の基礎や柱などが荷重量に耐えられるか? 鉄骨構造とは言えあまりにも基礎が貧弱なばあいや耐震性に不安定な場合は避けた方良いでしょう。 
  • 現地敷地内又は周辺道路などのスペースが確保できるか?  屋根材が長尺な場合に現場成型出来るスペースが確保が必要です。屋根材を陸送する場合も道路の幅が狭い所だと車が入ってこれません。またクレーンを使用して屋根材の荷上げをしますのでクレーン車を止める場所も必要です。